紫外線吸収剤ってお肌によくないの?紫外線散乱剤との違いは?

2018/11/4

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

5月から秋にかけて線量の増える紫外線への対策として、日焼け止めは欠かせませんよね。
今回は、日焼け止めに含まれる代表的な紫外線カット成分「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」について、それぞれの違いや特徴をご説明していきます。

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紫外線吸収剤はお肌によくないの?

「紫外線吸収剤」とは、紫外線を化学反応させ熱などのエネルギーに変換・放出することで、肌の奥への紫外線浸透と日焼けを防ぐ成分です。
以下に、日焼け止めとしての紫外線吸収剤のメリットとデメリットをそれぞれご紹介しますので、参考にしてください。

日焼け止めとしての紫外線吸収剤のメリット

  • 化学反応を利用しているため、少ない量でも高い防御効果が期待できる
  • 肌に塗ったときに白くなりにくく、べたつきにくいので使用感が良い
  • 汗に強い

日焼け止めとしての紫外線吸収剤のデメリット

  • 化学反応を起こし続けなければ効果がないので、こまめに塗りなおす必要がある
  • 肌の上で化学反応を起こさせるため、肌への負担が大きい
  • 肌が弱い人だと、肌荒れやかぶれの原因になることもある

紫外線吸収剤より、紫外線散乱剤配合の日焼け止めを選んだほうがいい?

一方で「紫外線散乱剤」とは、紫外線を反射・散乱させる作用のある白色顔料粒子の性質を利用して、紫外線が肌に浸透していくのを防ぐ成分です。
以下に、日焼け止めとしての紫外線散乱剤のメリットとデメリットをそれぞれご紹介しますので、参考にしてください。

日焼け止めとしての紫外線散乱剤のメリット

  • 紫外線を反射させる仕組みのため、比較的肌への負担が少ない
  • 構造が壊れにくいため、一度塗ると長時間の効果持続が期待できる
  • UV-A、UV-Bの両方の紫外線への防御効果がある

日焼け止めとしての紫外線散乱剤のデメリット

  • 肌に塗ったときに白くなりやすく、見た目にわかりやすい
  • 塗ったときの伸びが良くなく、使用感がベタベタとしている
  • 汗に弱い

紫外線吸収剤・紫外線散乱剤のどちらにも、使用する上でメリットとデメリットがあります。
このため、一概にどちらの方が性能が良い、と断言することはできません。近年では双方のデメリットを踏まえ、改善した日焼け止めも多く販売されています。

日焼け止めを選ぶにあたり、紫外線吸収剤・紫外線散乱剤のどちらの成分が入っているかは、あまり気にして選ぶ必要はないですが、紫外線吸収剤はかぶれを起こす方もいるので、日焼け止めでかぶれてしまう人は紫外線散乱剤を選ぶといいでしょう。

日焼け止めは何を基準に選べばいい?

ここからは、紫外線吸収剤・紫外線散乱剤という紫外線防御成分の種類によらない、日焼け止め選びの方法・コツをご説明していきます。

選び方その1:日焼け止めが想定する用途を基準にする

「かお用」「からだ用」「レジャー向け」「日常使い」など、それぞれの日焼け止めが想定する用途によって、紫外線防御の強度や耐水性は異なります。まずはメーカーがパッケージに記載している用途から、自分の想定に近いものを選ぶと良いでしょう。

選び方その2:日焼け止めの「SPF値」「PA値」を参考にする

SPFは肌を赤く日焼けさせる紫外線UV-B、PAは肌を黒く日焼けさせるUV-Aから、それぞれどのくらい肌を守ってくれるかの目安を示す数値です。日焼け止めは自分の肌の焼け方を考慮しながら、このSPF・PA両方の数値のバランスの良いものを選ぶのがおすすめです。

選び方その3:自分の肌質や、日焼け止めの使用感を基準にする

最後は、自分の肌質や好みの使用感を基準に、日焼け止めを選ぶと良いでしょう。なお、毎日使うことを想定している場合は肌への負担が少ない「低刺激」「敏感肌用」や、「こども用」「ベビー用」と記載されたものがおすすめです。

おわりに:紫外線吸収剤・紫外線散乱剤の知識を持って、自分に合う日焼け止めを選ぼう

日焼け止めに含まれる紫外線防御成分は、大きく紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2つに分けられます。それぞれにメリット・デメリットがありますが、日焼け止めを選ぶときにどちらかの成分にこだわる必要はありません。用途とSPF・PAの数値を参考にしつつ、自分の肌質と好みを基準に、毎日使用できるものを選びましょう。

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