記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
母体ホルモンの影響で皮脂分泌が増えるため、生後間もない多くの赤ちゃんが経験するといわれる乳児湿疹。ただ、治療でステロイドを塗っても大丈夫なのでしょうか?
今回は乳児湿疹の治療について、ステロイドを使ってもいいのか、使うならどのように塗ってあげればいいのか解説していきます。
乳児湿疹は、母体ホルモンの影響による皮脂分泌過剰や皮膚が乾燥してしまうことが原因で起こります。このため症状が軽度であれば、皮膚を清潔にして保湿することで成長とともに改善され、1歳くらいまでには治まるといわれています。
ただし日々のケアを怠ったり、症状が重度で長引いてしまう場合は、小児科または皮膚科の病院にかかって薬をもらい、治療する必要が出てきます。
保護者の方としては、まだ抵抗力の弱い赤ちゃんに副作用の恐れもある薬を塗ることに、不安を感じる人もいるでしょう。しかし自己判断ではなく、専門科である医師の診断・指示に従って正しく使う限り、乳児湿疹に薬を塗っても問題が起こることはほぼありません。
湿疹の症状から赤ちゃんを早く解放してあげるためにも、医師の指示のもと塗り薬を使い、効果的に治療することを考えてあげてください。
重度の乳児湿疹やアトピー性皮膚炎の治療に対し、ステロイド系の外用薬・いわゆる塗り薬は、大きな効果を発揮します。
このため、乳児湿疹にステロイド外用薬を塗ること自体は、問題ないといえるでしょう。
ただし、ステロイドは乳児を含む小児には副作用が出やすいといわれているため、特に2歳未満に処方するステロイドは、成人向けよりも強さのランクを下げるべきとされています。具体的には、5段階あるステロイド外用薬の強度のうち、乳児・小児には下から2番目の「マイルド」以下の強度のステロイド外用薬を使うことが推奨されているのです。
実際に、皮膚が赤くなって粉をふいてぷつぷつとした発疹を起こしている中等度以上の乳児湿疹に対し、マイルドに属すステロイド外用薬が処方されることはごく一般的な治療です。なお、経皮吸収の盛んな乳児の顔にステロイド外用薬を塗るときには注意が必要です。
ステロイド外用薬が定める使用方法によると、顔にしっかり塗るのは1週間以内にとどめ、その後は回数を減らしたり、保湿剤などに切り替えるべきとされています。
ここからは、乳児湿疹の赤ちゃんにステロイド外用薬を塗るときのポイントを、以下にまとめてご紹介していきます。
上記に紹介した赤ちゃんへのステロイド外用薬の塗り方はあくまで基本であり、赤ちゃんの症状の程度や体質によって、異なる場合があります。また、先述のように顔にどのくらいの量・頻度で塗布するかどうかにも注意が必要です。
ステロイド外用薬の使用や塗り方については、必ずかかりつけ医と相談してから決定・実行するようにしましょう。
ほとんどの赤ちゃんが1歳までに経験する乳児湿疹ですが、肌あれが重度になった場合には治療の必要が出てきます。治療には、成人の湿疹やアトピー性皮膚炎と同様ステロイド外用薬が処方されることもありますが、乳児用のものは効き目が穏やかです。医師の指示に従った用法・用量で塗布する限り、副作用などの心配は必要ないでしょう。乳児湿疹がなかなか治らず心配なら、かかりつけの小児科・皮膚科の医師に相談してください。
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