記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
スベスベだったはずの赤ちゃんの肌に突如湿疹が! この湿疹の正体とは、いったい何なのでしょうか。アトピーの前兆なのでしょうか。以降で解説していきます。
赤ちゃんのお肌はいつもスベスベというイメージがありますが、生まれたての赤ちゃんはさまざまな原因で湿疹ができます。
人間は、ある程度成長すると、適度に汗をかいて体温を調整することができるようになります。しかし、生まれてすぐの赤ちゃんは、まだ外の世界の温度変化に上手に対応することができません。たくさんの汗をかいてしまって、あせもやニキビのような吹き出物ができることもあります。また、徐々に皮脂の分泌が盛んになり、皮脂が多い部分に皮膚炎が生じることがあります。
新生児の湿疹は、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、よだれや尿などの刺激で起こる接触性皮膚炎、アレルギーなどさまざまなものがあります。これらの生後2週間ごろから数ヶ月の期間に生じる湿疹を、総称して「乳児湿疹」と呼ぶこともあります。
新生児ざ瘡(しんせいじざそう)は、お母さんのお腹の中にいたときに受け取っていた男性ホルモンの影響で、一時的に生じる発疹です。生まれて2週間ほどの新生児の顔にニキビのような小さな発疹ができます。
泡立てた石鹸で洗って清潔を保っていれば、一般的には2~3ヶ月で自然になくなります。もし長引くようであれば、医師に相談しましょう。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が盛んな部位に赤い皮膚炎が起こることをいいます。赤ちゃんの脂漏性皮膚炎は頭や顔にできることが多いですが、数ヶ月で自然と改善していきます。入浴時は、よく泡立てた石鹸で皮脂を洗い流し、清潔を保ちましょう。
湿疹が全身に広がっていき改善がみられない場合には、乳児アトピー性皮膚炎や、何かしらのアレルギーがある可能性もあります。
乳児アトピー性皮膚炎の治療は、肌を清潔に保つことや、保湿をしっかりと行うといったスキンケアが基本になります。また、症状に応じてステロイドの塗り薬を使うこともあります。ステロイドは適切な使用方法や、使用量、使用回数を守ることで効果が得られる薬です。勝手に止めたり、回数を減らしたりすることで、かえって症状を悪化させることもあるため自己判断による使用は止めましょう。
また、食物アレルギーが判明したときは、離乳食の開始時期を検討したり、最初に食べる食材を検討したりすることもあるでしょう。
生まれたての赤ちゃんは、肌を守る力が育っていない状態のために、湿疹ができやすいです。多くは清潔にしていることで自然と治っていきますが、中にはアレルギーやアトピー性皮膚炎の可能性もあります。
治ると思っていた赤ちゃんの湿疹が、いつまでたっても治らないことに焦ったり、不安になったりすることは当然です。乳児検診の際に医師や保健師などに相談したり、長引くときには皮膚科を受診したりすると良いでしょう。
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