記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
顔に出ることの多い「酒さ」は、湿疹やニキビのように赤みやほてり、人によってはぷつぷつとしたできものを伴うこともある肌疾患の一種です。
今回はこの酒さについて、代表的な症状や考えられる原因、治療法の選択肢などとあわせてご紹介します。
酒さは、鼻・頬・あごなど、顔の中心線に沿った部位に多く発生する皮膚疾患です。
症状としては、皮膚の下の毛細血管の拡張、またこれによる皮膚の紅潮・赤み、ほてり、赤ニキビのような小さくてぷつぷつとした発疹などが現れます。
なぜ酒さが起こるのか、はっきりとした原因はわかっていませんが、現時点では以下のような原因が関与することで発症するもの、と考えられています。
なお、酒さは一度発症すると治りにくく、慢性に経過する皮膚疾患であることも特徴です。
湿疹は皮膚の表面で起こる炎症を指しますので、皮膚のやや深いところ(真皮)で炎症を起こす酒さで起こる“湿疹”は厳密な意味での湿疹ではありません。ただ、酒さの症状として世間一般に思われているポツポツやブツブツといった“湿疹”が見られることがあります。“湿疹”が伴うかどうかは、酒さがどの程度進行しているかによって変わっていきます。酒さの症状には、以下の三段階があります。
上記のとおり、酒さの三段階のうち、“湿疹”の症状が出るのは第Ⅱ度酒さです。
また、上記にご紹介した酒さの三段階は必ずしもこの進行順とは限らず、人によってはいきなり第Ⅱ度酒さを発症するケースもあります。
ただし、いきなり第Ⅲ度酒さになることは少なく、かつ日本では最も重度な第Ⅲ度まで進行することは、ほとんどないといわれています。
最後に、酒さの治療法や治療の必要性について、確認していきましょう。
酒さの治療方法は、大きく分けて外用薬の使用・内服薬の服薬・レーザー治療の3種類があり、患者の状態にあわせて、それぞれを適切に組み合わせながら治療していきます。
以下に、3つの治療法がそれぞれ使われることの多い症状と段階、薬の種類などをまとめてご紹介しますので、お役立てください。
主に第Ⅰ度の酒さの治療法として使用されることが多く、症状の出方や患者の体質にあわせて、以下のような外用薬が使用されます。
サンスクリーン、バリア修復エモリエント、アゼライン酸、メトロニダゾール、レチノイド、過酸化ベンゾイル、サルファ剤、抗生物質 など
主に第Ⅱ度酒さの治療に使われることが多く、“湿疹”の出方にあわせて、皮膚の状態を落ち着かせるための以下のような内服薬が処方されます。
ドキシサイクリン、クリンダマイシン、エリスロマイシンなどの抗菌薬
主に第Ⅰ度酒さの赤みの軽減(パルスダイレーザー)や、第Ⅲ度酒さの重度の皮膚疾患を削皮術(外皮を切り取る手術)のため(炭酸ガスレーザー)に、使用される治療方法です。
また、ここまでに紹介した3つの治療法の他にも、日ごろの食生活やスキンケアにおいて、医師から酒さを悪化させないための指導が入るのが一般的です。
環境や日ごろの食生活、または体質などが原因で酒さを起こした場合、酒さのせいで顔に湿疹が発生する可能性は大いにあります。酒さは一度発症すると慢性化しやすく、時間をかけて悪くなることはあっても、自然によくなることはほとんどありません。重度の第Ⅲ度にまで進行すると顔の審美面が著しく阻害され、外皮をレーザーで焼いて治療する必要が出てきます。顔に赤みが出てきたら、早めに皮膚科の病院で相談してくださいね。
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