脂漏性皮膚炎に効く市販薬は売っているの?

2018/9/2

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

皮脂の分泌が多い場所にて、皮膚の赤みやかさつきなどの症状が出る「脂漏性皮膚炎」。この脂漏性皮膚炎に効く市販薬は売られているのでしょうか?

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脂漏性皮膚炎に効果がある薬は?

脂漏(しろう)性皮膚炎は、鼻や頭皮、耳の後ろ、背中の中央や胸部など皮脂の分泌が多い脂漏部位と呼ばれる場所で起こりやすい皮膚炎です。皮膚が炎症を起こすことで赤く、かゆみ、かさつきといった症状が起こります。また、乾いた皮膚は細かく剥がれるため、フケが増えたように感じる人もいるかもしれません。

生まれたての赤ちゃんは一時的に男性ホルモンの働きが活発になり皮脂の分泌が増えるので脂漏性皮膚炎になりやすいですが、ほとんどは清潔を保つことで自然に治癒をします。一方、成人では男性で起こることが多く、一度症状があらわれると、なかなか自然治癒が難しい症状です。

脂漏性皮膚炎はマラセチアという真菌(カビの仲間)によるものと考えられています。マラセチアは常在菌(じょうざいきん)のひとつで、もともとは誰でもが持っている菌です。分泌された皮脂がマラセチアによって分解されて作られる遊離脂肪酸が皮膚に刺激になることが原因と考えられています。生まれつき皮脂が多い体質や、不規則な生活、ストレス、睡眠不足などの生活習慣、洗い方が不十分であるなどの要因が、症状を引き起こしている可能性があります。

治療では軽症の場合は、真菌を殺菌する作用のある抗真菌薬を中心に用います。症状が重くなるとステロイドの外用薬を併用することもあります。皮膚に用いる抗真菌薬は作用が穏やかな薬で即効性はないですが長期間使用でき、ローションタイプや、指にとって塗るクリームや軟膏タイプがあります。

また、脂漏性皮膚炎の治療では、生活習慣の改善を行うことも大切になります。皮脂の分泌をおさえてあげることが大切で、暴飲暴食は避け、アルコールや甘いジュース、香辛料も控えめにしましょう。また、睡眠不足にも注意しましょう。

脂漏性皮膚炎の抗真菌薬は市販薬でも買える?

現在、脂漏性皮膚炎の治療で効果が高いとされているニゾラール®ローション2%は、ドラッグストアなどで市販薬としては手に入らず、医療機関を受診して処方してもらいます。

なお、ドラッグストアなどでは頭皮湿疹を治療する薬が販売されており、現在販売されている市販薬は、さまざまな原因で頭皮に起こる湿疹を対象としています。抗真菌作用がある成分も含まれてはいますが、脂漏性皮膚炎に特化した薬ではありません。また、脂漏性皮膚炎の症状によっては、ステロイドの外用薬を併用して治療を行うこともあります。

成人での脂漏性皮膚炎は、一度症状が現れると自然治癒が難しいとされています。医療機関を受診し、自分の症状に合った治療方法を見つけることが、完治への近道となります。

おわりに:マラセチアには抗真菌薬が必要!気になる皮膚症状があるときはすぐに皮膚科へ

脂漏性皮膚炎はマラセチアというカビの仲間が原因とされており、その他、体質や生活習慣などの要因も関与していると考えられています。頭部では、頭皮を中心に、鼻や耳の後ろなど皮脂の分泌が盛んな場所や、背中や胸といった体の部分でも症状があらわれることがあります。

治療は、カビを殺菌する抗真菌薬も用いられますが、市販薬としては手に入りません。治療を先延ばしにすることで症状が長引くこともあります。早めに医療機関を受診し、治療を開始しましょう。

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