記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/8/24
記事監修医師
前田 裕斗 先生
不妊治療で血液検査を受ける適切な時期はいつ頃なのでしょうか?また、血液検査の結果の数値はどのように見ればいいのでしょうか?不妊治療で行う血液検査について解説していきます。
不妊治療の基本の検査はどの時期からでも始められますが、月経周期に沿って進んでいくため、人によって周期は異なります。
以下では、月経周期が28日の場合の流れを解説します。
月経後に体温が上昇するまでの期間で、卵胞ホルモンを分泌するために卵巣内で卵胞が成熟する時期でもあるため、卵胞期とも呼ばれます。排卵前に行うべき、卵管に関する検査などはこの期間に行います。
この期間中は排卵日予測の検査を行います。
排卵とは、卵胞ホルモン分泌がピークに達した時に、黄体ホルモンの分泌や、卵胞からの卵子が排出される状態のことで、低温から高温への移行期に起こります。
この期間中は黄体ホルモンの検査を行います。
基礎体温が高い時期で、黄体ホルモンを分泌するために卵子排出後の卵胞が黄体という組織になるため、黄体期とも呼ばれます。
妊娠していない場合は、はがれ落ちた子宮内膜が血液と一緒に体外に排出され、生理が始まります。この期間中は、ホルモンの基礎値の測定や、卵巣の予備能力を調べるための超音波検査が行われます。
これらの検査を行い異常が見られた場合は、以下のような精密検査が行われます。
また、血液検査では以下のようなことがわかります。
数値は、検査を行うタイミングなどのいくつかの要因により変化します。
月経中のFSH値=卵胞が未成熟かつエストロゲンが低い状態で測ることが重要となります。
1桁=正常な基礎値。2桁=卵巣機能が著しく低下している状態。20以上=要注意。50以上=閉経。
数値が高くても低くても不妊となる可能性があり、TSHとFT4(甲状腺ホルモン)の両方の数値をみることで、甲状腺疾患の有無を診断することができます
基準値はTSH=上4.0以内、下0.39以上。FT4=上1.6以内、下1以上。
*測定キットにより異なるため、必ず病院ごとの基準値を確認してください
成熟後の卵胞の排卵を促したり、排卵後の卵胞の黄体化を促す作用のあるホルモンです。
LHの数値がFSHと比べて高い場合は、多嚢胞性卵巣症候群の恐れがあります。
LHが7以上、LHの数値がFSHよりも高い場合は、多嚢胞性卵巣症候群の恐れがあると診断されます。
高温期に排卵後の卵胞から分泌されるホルモンで、副腎や神経細胞でも少量産生されます。
受精卵が着床しやすい状態にするために、子宮内膜を変化させる作用があります。
高温期に測定した数値が10以上の場合は、正常値となります。10以下の場合は、黄体機能不全の疑いがあります。
発育過程の卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣の予備能力を調べることができます。
胞状卵胞(水がたまった細胞)になる前の「前胞状卵胞」の残量を確認することができます。
1以下=不妊の可能性が高いと考えられる(年齢にもよります)。
フーナーテストで何度も思わしくない結果が出る場合は、女性が抗精子抗体を持っている可能性があるため、検査をしてみる必要があります。
精子に対する抗体は、男女問わず作られしまうことがあるのですが、特に女性の場合は精子の動きが阻害されることにより子宮内への進出が難しくなったり、受精が出来なくなる恐れがあるため、注意が必要です。実際に、抗精子抗体を持つ女性の数%は不妊症になるとされています。
一般的には精子不動化試験と呼ばれる、女性の血液の血清に、分析施設が用意した健康な男性の精子を入れて観察する方法で診断されます。
基本の検査は、どの時期からでも始めることが可能ですが、月経周期に沿って進めていきます。血液検査は甲状腺の疾患などの不妊の原因となる病気を調べることもできる重要な検査です。また、フーナーテストで何度も思わしくない結果が出る場合は、女性が抗精子抗体を持っている可能性があるため、精子不動化試験などの検査を受ける必要があります。
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