不妊治療で流産する可能性は高い?何度も流産することはあるの?

2018/9/13

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

流産をすることは、妊娠した人だけでなくパートナーや家族にとってもつらいことです。
不妊治療が流産と関係しているというウワサが流れていますが、このウワサは信頼できる情報なのでしょうか。
この記事では、不妊治療と流産との関係性について解説しています。

不妊治療で流産することは多いの?

不妊治療の方が自然妊娠に比べて流産しやすいと感じている人もいるかもしれませんが、不妊治療そのものは流産のしやすさとはほとんど関係はありません。

実際に自然妊娠と体外受精を行った場合の流産率を見てみると、体外受精の方が若干高いものの、その差は数%とほぼ変わらないものになっています。一方、年齢別で見てみると20代と40代では30%近い差が出ています。つまり、この数字を見る限りでは流産する確率は不妊治療より年齢による影響が大きいといえます。

流産を繰り返している場合、不育症の可能性も

不育症とは、妊娠はするもののお腹の中で赤ちゃんが育たずに流産や死産を繰り返してしまうことです。
初めての妊娠で流産する確率は10~15%とされていますが、その原因の半数は染色体異常といわれています。染色体異常は偶然に起きるため、治療で防げるものではありません。

ただ、流産を2~3回繰り返す場合は母体に何らかの原因がある可能性があります。不育症の可能性も考慮して検査してもらった方がいいでしょう。

不育症の原因として考えられるものは?

不育症の原因として考えられるものには、母体のどこかで異常が起きている場合と、抗リン脂質抗体症候群によるもの、そしてストレスによるものの3つに大別されます。これらは単独で原因になっている場合もあれば、いくつかの原因が複合的に関係していることもあるのです。

体の異常によるもの

体の異常によるものは、さらに「染色体異常」「子宮の形成異常」「ホルモンの分泌異常」「凝固因子異常」「免疫異常」の5つに分けることができます。

染色体異常
染色体異常があるからといって必ずしも流産するわけではありません。異常があっても無事に出産する例も見られます。
子宮の形成異
子宮の形成異常があると、赤ちゃんにうまく栄養を運べなくなることがあります。手術治療が検討されることもありますが、約60%が手術なしで妊娠を継続しているといわれています。
ホルモンの分泌異常
ホルモンの分泌異常による流産は、「高プロラクチン血症」「黄体機能不全」「甲状腺機能低下症」が主な原因と考えられていますが、どれも薬物治療で改善が目指せます。
凝固因子異常
凝固因子異常の場合、妊娠すると胎盤に血栓ができやすいため、赤ちゃんに栄養を運ぶことができず流産や死産となってしまうことがあります。
免疫異常
拒絶免疫異常では、母体が赤ちゃんを異物とみなして拒絶反応を起こします。これは、赤ちゃんを作る組織の半分が父親に由来することが原因です。免疫異常の場合には、妊娠中でも使用可能な免疫抑制剤の投与や、夫のリンパ球を移植する治療が行われることがあります。

抗リン脂質抗体症候群によるもの

自己免疫異常の一つで、血栓が作られやすくなり流産を引き起こしてしまう病気です。妊娠が継続できるよう、血液が固まらないような治療を行います。

ストレスによるもの

ストレスは血流やホルモン分泌などに影響を及ぼします。そのため、ストレスが流産や死産を引き起こしてしまうこともあります。特に妊娠初期は精神的に不安定になりやすいため、できる限りストレスを遠ざけるようにしましょう。

不育症の検査を受けたほうがよい場合

以下のような経験がある人は、不育症の検査を一度受けてみましょう。ただし、検査をしたからといって、流産の原因が必ず特定できるわけではないことは理解しておきましょう。

  • 10週未満の初期流産を3回以上連続して起こした
  • 10週以上で原因不明の子宮内胎児死亡となったことがある

おわりに:不妊治療は、基本的に流産に影響しない

不妊治療と流産には何の関係性もありません。ただし「流産するかもしれないという不安」でストレスを感じることが、流産の原因になる可能性も考えられます。流産を繰り返している場合には、不育症の検査をしたうえで、とストレスを減らして流産のリスクを少なくしましょう。

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