不妊治療だと、発達障害を抱えた子供が生まれる可能性が高いの?

2018/9/10

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

「不妊治療を受けると発達障害の子供が生まれる可能性が高くなる」をいうウワサがあります。
このような不確かな情報で、不妊治療に対して過度の不安を感じる必要はありません。
この記事では、不妊治療と発達障害児のリスクとの関係性について解説しています。

不妊治療で生まれた子供に発達障害が多いって本当?

発達障害は、生まれつきの脳の機能障害によって生じます。なぜ機能障害が生じるのかのメカニズムとしては、いまだ明確にはされていませんが、アメリカやヨーロッパを中心に、不妊治療の関与についての研究が行われています。

アメリカでは、自然妊娠のほか、一般不妊治療、体外受精、顕微授精など様々な妊娠方式で生まれた子供たち数千人を対象とした大規模な研究が行われました。
子供たちが3歳になるまでの期間、定期的に記録して比較をしましたが、不妊治療で生まれた子供と自然妊娠で生まれた子供において、発達障害の割合には大きな差はありませんでした

また、ヨーロッパでもいくつかの研究が行われており、不妊治療と発達障害の間には大きな影響はないとされています。しかし、体外受精や顕微授精では知的障害や自閉症スペクトラムが生じる率がわずかに高いという研究報告もあり、現在も研究が続けられています。

顕微授精で自閉症スペクトラム障害のリスクが高くなる?

不妊治療では、夫婦以外の手を借りて行う治療として人工授精、体外受精、顕微授精があります。いずれも、精子と卵子が出会う確率を高めることで受精をうながします。

人工授精は、濃縮した精子を排卵のタイミングにあわせて子宮内に送り込む治療方法です。また、体外受精は母体から取り出した卵子に培養液内で精子をふりかけて受精を促す方法です。この2つの方法は、精子が泳いで卵子と出会う必要があります。

一方、顕微受精は、選別した精子を、卵子に直接針を指して挿入します。顕微受精による治療は、人の手で直接受精させるため、理論的には運動機能の失われた精子であっても治療に使うことができます。
また、著しく精子の少ないといったときにも、精巣から精子を取り出すことができれば治療を行える可能性があります。

子供が欲しいというカップルにとっては画期的な方法ですが、海外では自閉症スペクトラム障害の子供が生まれるリスクが高くなるという報告もあり、今後の追加調査が待たれます。

現時点で明らかになっている顕微授精のリスクは?

現時点では、高度不妊治療と発達障害との関連性については、大きな問題がないという研究結果がほとんどです。顕微授精のその他のリスクとしては、自然妊娠に比べると、不妊治療における流産率や早産率、低出生体重児などが生じる可能性はやや高くなると報告されています。

ただし、これらの要因が不妊治療によるものであるのか、夫婦の何らかの要因かどうかは明らかではありません。今後も継続した調査や研究が行われていくことになるでしょう。

おわりに:不妊治療と発達障害との関係については、今後も研究が必要

不妊治療と発達障害の関連性については、アメリカやヨーロッパでの研究が行われてきました。自然妊娠と不妊治療の間で、発達障害が生じる確率はほとんど差がないという研究結果がほとんどで、あまり心配する必要はないとされています。
顕微授精では、自閉症スペクトラムや知的障害の確率が高くなるという報告もありますが、不妊治療によって生じているものなのかどうかを明確にはされていないため、現在も研究が続けられています。

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