アデノイド肥大を手術で治す場合って?手術にデメリットはないの?

2018/8/31

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

小さい子供に起こることのある「アデノイド肥大」の治療法のひとつに手術がありますが、どういう場合に手術が必要なのでしょうか。また、手術に伴うデメリットにはどういうものがあるのでしょうか。

アデノイド肥大とは?

「アデノイド」とは、鼻の奥の突き当りの鼻から喉に移行する部分、上咽喉にあるリンパ組織のかたまりのことをいいます。そして「アデノイド肥大」は、このアデノイドが何らかの原因で病的に大きくなり、鼻や耳にさまざまな症状を引き起こす病気で、2~5歳くらいの子供に特有のものです。

アデノイドは、正常な子供の成長過程で1歳頃から大きくなり始め、6~7歳で最大となり、その後は自然に小さくなって成人では痕跡を残すだけとなるのが普通です。しかし、その過程で普通以上に大きくなると、鼻づまりによる口呼吸睡眠時無呼吸症候群、慢性的な鼻炎や副鼻腔炎、中耳炎などを起こし、重症化する場合もあります。

治療は、一時的なものであれば炎症を抑える薬の服用や点鼻薬で症状を軽減でき、軽症の場合は一般に8~10歳でアデノイド自体が小さくなっていくことから経過観察で十分なこともあります。ただし、合併症を起こしている場合には切除手術が必要となります。

アデノイド肥大で手術が必要な場合

アデノイド肥大は、成長のもっとも重要な時期にあらわれる病気です。「成長障害」や集中力の低下による「学習障害」を起こすことがあるほか、重症の呼吸障害が長期間続くことによって血液中の酸素量が低下し脳がダメージを受けたり、心臓への負担から「心不全」や「肺高血圧症」など重い合併症を引き起こすことがあります。

また、鼻水が流れにくいことから起こる「慢性副鼻腔炎」が続くことで「アデノイド顔貌」(口を開け、舌を突き出した顔つきになってしまう状態)や「漏斗胸」「鳩胸」など胸郭が変形する場合もあります。咽頭とつながっている耳では難治性の「滲出性中耳炎」になりやすく、軽度の難聴となることもあります。

こうした場合には手術が必要となり、全身麻酔のもと口から鏡を見ながらアデノイドを切除・止血します。手術自体は1時間以内で終わりますが、1週間ほどの入院が必要となります。

アデノイド肥大を手術で治すデメリットは?

リンパ組織のかたまりであるアデノイドの切除術でまず気になるのは、免疫機能の低下でしょう。しかし、全身の免疫能力は5~6歳頃にほぼ完成するといわれ、それ以上であれば切除後の免疫力の低下を心配する必要はありません。また5歳以下であっても、呼吸障害や睡眠障害があるようであれば、そのリスクの方が高いため手術を行うことになります。

アデノイド切除術のデメリットは一般的な術後合併症と同様で、麻酔のリスクや痛み、出血、感染症などがあります。また、術後しばらくしてあらわれる合併症として、のどの違和感、まれに構音の異常(声が若干変化する)などがありますが、これらは年月の経過とともに緩和していく傾向にあります。

おわりに:深刻な合併症を引き起こした場合は、手術が必要

アデノイド肥大は、一時的なものであれば薬物療法で軽減でき、軽症な場合は経過観察で十分なこともあります。しかし、呼吸障害や睡眠障害などによる合併症を起こしている場合には切除手術が必要です。術後に喉の違和感などがあらわれる場合もありますが、深刻なデメリットはほぼないので、手術に関して不安なことがあれば医師に相談しましょう。

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