記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
排便時の痛みや出血などが主症状の「切れ痔」ですが、切れ痔でかゆみが起きることはあるのでしょうか?それとも、痔以外の原因でかゆくなっているのでしょうか?以降で解説します。
肛門やその周辺のかゆみには、肛門付近の汚れや汗による刺激などで起こるものと、何らかの別の疾患がもとになって起こるものがあります。別の疾患には、接触性皮膚炎、あせも、ぎょう虫症、コンジローマ、腟カンジダ症などさまざまなものがあります。
そして、「切れ痔(裂肛)」でも肛門付近にかゆみが生じることがあります。切れ痔とは、硬い便が肛門を通過するときなどに肛門に近い部位が裂けて傷ついた状態で、排便に出血や痛みを伴う女性に多いといわれる疾患です。治りかけの傷口にもかゆみを生じることがあります。
また、「いぼ痔(痔核)」ではイボから分泌される血液や粘液が肛門周囲に付着することで、「痔ろう」の場合には皮下に溜まった膿が皮膚を破って肛門周囲に付着することでかゆみが生じることがあります。
肛門にかゆみを発症した際にむやみに掻いたりこすったりすると、肛門や周囲の皮膚を傷つけて荒れや炎症を起こし、かゆみが悪化しかねません。肛門にはできるだけ触らず、常に清潔な状態を保つことが大切です。
排便後は便をしっかり拭き取るようにしますが、力を入れてごしごしと拭くのではなく優しく押さえるように丁寧に拭きます。温水洗浄便座で洗いすぎると、必要な水分や油分まで洗い流してしまい、逆に皮膚が乾燥してかゆみが増してしまうことがあるので注意が必要です。
また、原因である痔の症状そのものをやわらげることでかゆみを抑えられることがあるので、肛門の血行が良くなるようゆっくりと湯船につかるなどすると良いでしょう。
なお、おしりふきやかゆみを緩和する市販のスプレーなどは、すでにかゆみがあるときには逆に悪化させてしまう場合があるので使用は避けましょう。
肛門部とその周辺部分の疾患をまとめて「痔」といい、切れ痔、いぼ痔、痔ろうが9割を占めますが、かゆみを主な症状とする疾患に「肛門そう痒症(こうもんそうようしょう)」があります。
大腸から分泌された粘液によるかぶれに洗剤や下着の接触、掻きすぎやこすり過ぎが加わり強いかゆみが出ることが多い疾患ですが、粘液分泌が異常に多い場合には大腸の炎症などが隠れている場合があります。また、カンジダというカビの一種が繁殖したり、寄生虫、食物、精神的なストレス、糖尿病などの全身疾患、まれに悪性腫瘍などが原因となっている場合もあります。
対処法としてはまず、掻かない、こすらない、洗い過ぎないことが大切です。痔ろう以外なら、市販薬などを使用するのも良いでしょう。薬で改善せず、かゆみが続いたり強い炎症やかぶれがあらわれたときは、皮膚科や肛門科で診察を受けるようにしましょう。
切れ痔による肛門のかゆみは、初期や治りかけのときに起こりますが、いぼ痔や痔ろうの初期症状としてもあらわれるほか、さまざまな原因で発症する肛門そう痒症の場合もあり、重い病気が隠れていることがあります。かゆみが続く、強い炎症やかぶれがあるという場合には、皮膚科や肛門科で診察を受けるようにしましょう。
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