記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/8/30
記事監修医師
前田 裕斗 先生
ここ数年で、不妊治療に排卵日にあわせて性行為をするタイミング法をはじめ、人工授精や体外受精など、さまざまな方法があることは広く知られるようになってきました。
今回は不妊治療に使われる薬剤のなかでもあまり知られていない点鼻タイプの薬剤について、わかりやすく解説していきます。
不妊治療には、排卵をコントロールする目的で「ブセレキュア®」という点鼻タイプの薬剤が処方されるケースがあります。不妊治療においては保険適用外の薬剤となります。
ブセレキュア®は「スプレキュア®」のジェネリックであり、もともとは子宮内膜症や子宮筋腫の治療薬として用いられていました。
1日に数回、決められた時間に鼻のなかに噴霧して使用することで、脳の視床下部という部分に作用し、ホルモン分泌を抑制して未成熟な卵子の排出を防ぐことで、体外受精など不妊治療に適した成熟した卵子を採卵しやすくなるのです。
なお、排卵の抑制ではなく促進のためにブセレキュア®を噴霧する場合は、噴霧から36時間以内に排卵が起こるようコントロールが可能です。
ここからはブレセキュア®の効果・作用について、もう少し詳しく見ていきましょう。
ブセレキュア®の効果を「排卵の誘発」「排卵の抑制」そして「子宮内膜症や子宮筋腫の治療」の3つに大別して、以下にご説明します。
卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を視床下部に指示し、排卵を起こさせる指令を出すホルモンに性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)があります。
ブセレキュア®には、視床下部に排卵を指示させる性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)と同じ作用があるため、排卵を誘発させる効果が期待できるのです。
排卵を誘発させる一方で、ブセレキュア®には長期的に使用することで女性ホルモンの一種であるエストロゲンを減少させ、排卵を抑制する効果も期待できます。
不妊治療では、生理周期にあわせて3週間を目安に長期投与し、排卵時期をコントロールするのに使用します。
エストロゲンの分泌量を減少させることで、女性ホルモンの影響から起こる子宮内膜症や子宮筋腫を改善・治療することができます。なお、子宮内膜症・子宮筋腫へのブセレキュア®の処方は、保険適用となります。
期待できる効果・作用とあわせて、ブセレキュア®の副作用についても、軽微なものと重篤なものに分けてご紹介していきます。
顔や体のほてり、肩こり、頭痛、多毛、発疹 など
上記のうち、特に重篤な副作用やその兆候を感じた場合は、すぐに主治医に連絡するか病院に行って、診察を受けてくださいね。
ここからは1日に数回、決まった時間に鼻に噴霧して使用するブセレキュア®を、使い忘れなどで使用するタイミングを間違えてしまった場合の、適切な対処法をお教えします。
ブセレキュア®は、連続的に長期使用してこそ排卵抑制効果を発揮する薬剤ですので、前回の点鼻から36時間経過してしまうと、排卵が起こってしまいます。点鼻を忘れていた場合、点鼻する時間帯によっては採卵ができなくなる可能性もありますので、再点鼻は医師に相談してから時間を逆算して行うようにしましょう。
排卵にかかわるホルモンの分泌に作用させ、採卵予定にあわせて排卵をコントロールする目的で、不妊治療にブセレキュア®点鼻薬が使われることはあります。
もともとは子宮内膜症や子宮筋腫の治療用に作られた薬のジェネリックですが、不妊治療においては保険適用外となります。1日数回、決まった時間に点鼻する必要がありますので、忘れてしまった場合は早めにかかりつけの病院・医師に相談してください。
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