ホルモン補充療法ってどんな治療をするの?乳がんとの関係は?

2018/9/1

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

更年期障害の治療では主に「ホルモン補充療法」が行われますが、このホルモン補充療法とはどんな治療法なのでしょうか。ホルモン補充療法に伴う、乳がんの発症率の関連性と併せてお伝えしていきます。

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ホルモン補充療法(HRT)とは?

ホルモン補充療法とは更年期症状や更年期障害の治療のために行われる治療法で、閉経前後に体内で不足してきた女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンを補充するものです。

ホルモン補充療法はさまざまな効果を期待できますが、具体的な効果としては、のぼせ、ほてり、発汗や動悸など血管運動性症状の改善、不眠や憂うつ、イライラなどの精神症状の改善、萎縮性腟炎や性交時の痛みの改善、骨粗鬆症や、方法にもよりますが脂質異常症の改善にも効果があります。

ホルモン補充療法ではどんな薬を使うの?

ホルモン補充療法で使われる薬には内服薬と、経皮剤と呼ばれる貼付薬や外用薬があります。基本的には内服薬を処方されることが多く、LDLコレステロールや中性脂肪が高い場合は外用薬としてエストロゲンのパッチ剤が主に使用されます。

内服薬では胃や腸へ負担をかけることがある一方、貼付薬は胃腸を傷めずに治療ができるものの毎日貼付しなくてはならず、皮膚がかぶれることもあります。自分に合った薬を選択することが望ましいです。

ホルモン補充療法にデメリットはないの?

さまざまな効果をもたらすホルモン補充療法ですが、デメリットもあります。特にホルモン補充療法を始めの1~2ヶ月では、胃のむかむか、胸の張り、おなかの張り、おりものの増加などの違和感を感じることもあります。子宮がある人では子宮がん予防のため黄体ホルモンを併用して治療を行うため、月経のような出血が見られることもあります。

ホルモン補充療法と乳がんって関係があるの?

ホルモンの補充療法を行うと、乳がんの発症リスクが上がるのではと不安を持つ人は少なくありません。確かに、治療を全くしていない人よりも、ホルモン補充療法を5年以上継続して治療をした人の方が乳がんになる可能性が高まるという報告もあります。

しかし、ホルモン補充療法でエストロゲンだけを補充するという方法をとっている場合には、乳がんの発症率は高まらず、またホルモン補充療法によって乳がんの罹患率は上がるもののわずかです。

おわりに:正しい知識を持ってホルモン補充療法を受けましょう

更年期症状や更年期障害の治療のために行われるホルモン補充療法。更年期に伴う不定愁訴や萎縮性腟炎、性交痛の改善など、さまざまな効果が期待できます。しかし、ホルモン補充療法をした人の乳がんの罹患率は、ホルモン補充療法をしていない人と比べて若干高い傾向にあります。あらゆる面を加味した上で、治療を受けるかどうか検討しましょう。

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