甲状腺炎ってどんな病気? – 症状、治療法について解説!

2018/9/3

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

「甲状腺炎」とはどのような病気なのでしょうか?甲状腺炎に該当する主な病気の症状や治療法について、詳しく解説していきます。

甲状腺炎ってどんな病気?

甲状腺とは喉の下にある蝶のような形をした内分泌器官のことで、物質代謝を促し、体の成熟を促進させています。この甲状腺に起こる炎症性疾患のことを甲状腺炎と呼び、大きく分けて3つのタイプに分けられます。

1つ目は急性化膿性甲状腺炎と呼ばれ、細菌感染によって炎症を起こし、甲状腺に痛みが出るものです。比較的稀な疾患ではありますが、上気道炎に引き続き、下咽頭を介して甲状腺周囲に細菌が侵入することで発症します。

2つ目は亜急性甲状腺炎というもので、ウイルスの感染が原因と考えられていますが、明らかな原因はわかっていません。「亜急性」とは急性よりも症状は長く続くけれども、慢性的に続くものではないことを指します。

3つ目は橋本病(慢性甲状腺炎)で、細菌が原因ではなく、自己免疫の異常が原因で甲状腺を攻撃してしまうため、慢性的な炎症が引き起こされるものです。この経過中に無痛性甲状腺炎を発症することもあります。

甲状腺の病気はどれも女性の方が男性よりかかりやすいのですが、橋本病は甲状腺炎のなかでもとくに女性に多く、男女比は約1対2~30近くにもなります。

甲状腺炎の症状はタイプによって違うの?

急性化膿性甲状腺炎は、一般的に風邪や扁桃腺炎などに続き、発熱や首の痛み、食事や唾を飲み込んだ時の痛みが感じられます。皮膚にも炎症があらわれることもあり、症状の多くは左側に起こります。

亜急性甲状腺炎の症状は、何かを飲み込んだ時や触った時に感じる程度の軽い痛みから、何もしていなくても耳や胸まで続く強い痛みまで様々です。熱も微熱から高熱と様々で、発熱を伴わない場合もあります。甲状腺全体や左右のどちらかのみが硬く腫れ、腫れも痛みも時間とともに位置が移動していくのが特徴的です。

橋本病にかかると、甲状腺全体が腫れ、首が太くなることがあります。しかし腫れの大きさには個人差があります。
バセドウ病の甲状腺の腫れと似ていると言われていますが、橋本病のほうが比較的硬く、表面がゴツゴツしています。

甲状腺炎の治療はどんなふうに行われるの?

急性化膿性甲状腺炎の治療は、原因となる細菌をなくすため抗生物質を投与します。膿がたまっているようであれば切開して排出することもあります。
風邪や扁桃腺炎に続いて炎症が再発することもありますが、瘻孔(ろうこう:炎症などによって生じた管状の穴)を完全に摘出していれば再発の心配はありません。

亜急性甲状腺炎は、自然に軽快していく病気なので、発熱や痛みが強いときなど必要に応じて薬を服用します。ほとんどの患者の場合2~3か月で症状が消え、再発は稀ですが10年以上経ってから起こることがあります。

橋本病の治療では、甲状腺が腫れていても甲状腺ホルモンの値が正常値の場合、甲状腺の形や大きさ、合併している病気の有無を検査し、経過を見ていくだけです。甲状腺ホルモンが低下している場合には、血液検査で適切な薬の量を決め、補充療法を行っていきます。薬を服用しているからといって、とくに日常生活で制限されることはありません。

おわりに:首に違和感があったら、医療機関を受診しましょう

甲状腺炎のどれもが首に違和感のあるものです。少しでも「変だな」と感じたら、医療機関を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。
また、橋本病の場合は甲状腺ホルモンの濃度が一時的に変化することがありますので、医師の指示に従い、定期的に医療機関を受診してください。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

症状(559) 甲状腺炎(3) 治療法(66) 亜急性甲状腺炎(4) 急性化膿性甲状腺炎(1) 橋本病(慢性甲状腺炎)(1)