IgA腎症って、治療すれば完治する可能性ってどのくらいあるの?

2018/9/11

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

IgA腎症とは、腎臓の糸球体の毛細血管に炎症を起こす病気です。
症状の進行はゆっくりですが、放置すれば腎不全に陥り透析が必要になってしまいます。
IgA腎症を完治させる方法はあるのでしょうか?以下の記事で解説していきます。

IgA腎症を発症すると、どんな症状が出るの?

IgA腎症とは、糸球体と呼ばれる、腎臓にある毛細血管の塊が慢性的に炎症を起こす病気です。尿検査をすると、血尿や尿たんぱくが認められるようになります。血尿と言っても、見た目にはっきりとわかるような血尿が出ることは少なく、上気道炎や扁桃炎にかかったときにまれにコーラ色の尿が出ることがありますが、ほとんどは自然にもとに尿色に戻っていきます。
このようにはっきりした初期症状が出ないため、学校や職場での検尿で指摘されることで初めて見つかるケースが多いです。

また、腎機能が低下するスピードも比較的ゆっくりのため、初期は腎機能も正常ですが、症状が進行していくと高血圧の合併や腎不全に伴うようになります。

原因は解明されていませんが免疫機能のなかで大きな役割を担う免疫グロブリンのIgAが、一部異常を起こしていると考えられています。
この異常なIgAは接着性が高く、糸球体に沈着して炎症を引き起こし、糸球体の血管を破壊してIgA腎症を発症するといわれています。

一部の症例では家族内に発生していることから遺伝的な要素が発症に関わっているとされていますが、発症に関わる特定の遺伝子は発見されていません。
発症例は子供から大人までと幅広く、海外では男性の方が多く発症していますが、日本でははっきりとした性差は認められません。

IgA腎症は、治療すれば完治する?

治療方法は腎機能や尿たんぱくの程度によって異なります。
根治的な治療方法は確立されていませんので完治させることは難しいですが、食事療法・生活指導・薬物療法によって対処療法をおこない、症状の緩和を目指していくことで、一般的な生活を送っていくことは可能です。

食事療法では食塩7~8g/日の減塩をおこない、腎機能の低下が認められる場合にはたんぱく質の制限が必要になることもあります。

生活指導でのポイントは、「規則正しい生活」です。
腎臓は生活の変化に敏感ですので、たとえば1日中働いたから明日は休み、というのではなく、2日に分けて働いたほうが腎臓に負担が少ないといわれています。また、喫煙をしている人は禁煙肥満の人は減量が必要になります。

薬物療法では高血圧を認める場合に降圧剤を用います。
患者によっては副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、抗血小板薬、口蓋扁桃摘出術、魚油などを用いられることがあり、最近ではステロイド薬の大量投与と扁桃腺の摘出手術を組み合わせた、口蓋扁桃摘出術+ステロイドパルス療法=扁摘パルス療法が主流です。

腎臓と扁桃腺では何も関係ないように思えますが、扁桃腺を含む口腔内感染によってIgA腎症の原因になる異常なIgAが産生されると考えられており、それを除去するために扁桃腺の摘出をおこないます。
この手術は全身麻酔が必要な外科手術のため、持病のある人や高齢の人には行えない場合があります。

ステロイドパルス療法はすでに生産されてしまった異常なIgAや腎臓に沈着しているIgAとともに糸球体で起きている炎症も抑える効果があります。

扁摘パルス療法によるIgA腎症の予後は大変良好で、早期の早い段階でおこなえば寛解や完治が目指せると考えられています。

おわりに:定期的な健康診断で早期発見を

IgA腎症の発症初期は自覚症状がありません。
腎機能が低下するスピードはゆっくりであるといっても、治療をしないまま放置してしまうと、透析治療が必要な腎不全になってしまいます。早期発見・治療のためにも、学校や職場での健康診断の機会がない人は、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。

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