肝斑には飲み薬がいちばん効くって本当?市販薬と処方薬の違いは?

2018/10/5

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

頬の両側、目の周りを中心に左右対称のシミが現れる肝斑。
ただのシミではなく、ホルモンバランスの変化が影響して30代後半~50代頃までの女性に現れると言われていますが、飲み薬で治療することができます。
今回は肝斑治療用の飲み薬について、その効果や市販薬と処方薬の違いを解説します。

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肝斑に効くのは飲み薬って本当?

レーザーやピーリングなどで治療することの多い一般的なシミとは異なり、肝斑の治療では、一定期間飲み薬を服用するのが効果的といわれています。

肝斑の治療薬は、主に肝斑の原因である皮膚の色素・メラニンを作り出す「メラノサイト」という細胞に身体の内側から作用することで、肝斑の改善を目指すものです。目安としては約2か月間、メラニンの生成を抑える薬を中心に肌の代謝促進や美白効果のある薬などを、毎日続けて服用することになります。

すぐに効果の出るものではありませんが、約2か月間毎日服用し続けることでメラニンの生成が抑制され、肌の代謝に伴って徐々に肝斑が薄くなる有効な治療法です。

肝斑の飲み薬、処方薬と市販薬の違いは?

メラニン生成を抑制する作用があり、肝斑治療において中心的に使用される飲み薬の主成分は「トラネキサム酸」です。
肝斑治療を目的としたトラネキサム酸含有の薬は、皮膚科や美容外科の医師から出してもらえる処方薬のほか、ドラッグストアなどで買える市販薬も流通しています。

処方薬・市販薬の双方ともたしかにトラネキサム酸を配合していますので、どちらを服用しても、一定の肝斑治療の効果は期待できるでしょう。

ただし、処方薬と市販薬では1日分の用量に対するトラネキサム酸の含有量が異なります
一般的な処方薬と市販薬のトラネキサム酸含有量の違いは、以下の通りです。

  • 処方薬…患者の症状や医師の見立てにもよるが、1日分でおよそ1500mg
  • 市販薬…製品によって一律で設定されており、1日分でおよそ750mg

このように、処方薬と市販薬では1日分の用量に対してのトラネキサム酸含有量に倍近い差があるため、人によっては市販薬で十分な治療効果を得られないケースもあります。
できるだけ早く、確実に肝斑治療を進めたいなら、専門科である皮膚科や美容外科の医師からの診断を受けて処方薬を購入することをおすすめします。

肝斑は、飲み薬と塗り薬を併用すると効果的!

肝斑の治療には、ここまで紹介してきたトラネキサム酸含有の飲み薬に加えて、肝斑の出ている部位へ塗り薬を使用するとより効果的であるといわれています。
よく肝斑治療に使われる塗る薬には「ビタミンC誘導体」「ハイドロキノン」「トレチノイン」の3種類があります。

以下に、肝斑に使用される3つの塗り薬の効果や使用上の注意点をまとめていますので、肝斑治療への理解に役立ててください。

ビタミンC誘導体

肝斑への治療効果

抗酸化作用で肌の老化、劣化を防ぐ
細胞を傷つける働きのある活性酸素を除去し、肌をダメージから守ってくれる。
バリア機能で、紫外線ダメージから保護する
ビタミンCには、メラニン生成の要因となる紫外線ダメージから皮膚を守る働きがある。
メラニンの生成を抑制する
メラニンを合成するための経路を阻害することで、新たなシミの生成を防ぐ。
コラーゲンの生成を促進する
真皮細胞に働きかけてコラーゲンを生成し、皮膚の状態を改善する。

ハイドロキノン

肝斑への治療効果

シミを薄くする
メラニン色素を合成する酵素の働きを読めて、いまあるシミを薄める効果がある。
新しいシミをできにくくする
メラニン色素を作り出す細胞の働きを抑えて、これからできるシミをできにくくする。
肌を白くする
漂白作用があるため、用法・用量を守った使用で美白効果が期待できる。

肝斑治療に使用するときの注意点

  • ヒリヒリ感や赤みなど、人によっては皮膚に刺激症状が出る可能性がある
  • 日中、紫外線下に出るときは日焼け止めの併用が必須

トレチノイン

肝斑への治療効果

皮膚の代謝を促し、シミを薄くする
主成分のビタミンA誘導体が皮膚細胞を活性化させ、古い角質を剥がし、新しい皮膚細胞への代謝を促すことで、いまあるシミを薄くする効果が期待できる。
肌の状態を改善する
余分な皮脂を抑え、コラーゲンの産生を促して皮膚をみずみずしい状態にしてくれる。

肝斑治療に使用するときの注意点

  • 胎児へのリスクが考えられるため、妊娠中または妊娠予定者は使用できない
  • 一時的に反応性の皮膚炎が起き、赤みや皮膚のかぶれが出ることがある

この3つはそれぞれ医師の判断によって、トラネキサム酸含有の内服薬とあわせて処方されるのが一般的です。

おわりに:肝斑治療には、処方薬のトラネキサム酸含有の飲み薬が効果的!

肝斑治療には、シミの原因であるメラニン色素の生成を抑える「トラネキサム酸」含有の飲み薬が効果的です。また飲み薬に加え、肌を紫外線から守ったり、肌の代謝を活性化させるビタミンC誘導体・ハイドロキノン・トレチノインなどの塗り薬を併用することで、肝斑は治療することができます。飲み薬・塗り薬のどちらも処方薬の使用がおすすめですので、詳しくは皮膚科・美容外科などの専門医に相談してください。

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