記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「腸内フローラの乱れが便秘を引き起こす」ということはよく知られていますが、さらに腸内フローラの状態は生活習慣病や肥満のリスクにも関連していることをご存知でしたか?以降で詳しく解説していきます。
腸内フローラ(腸内細菌が花畑のように密集している様相)の乱れからくる症状としては便秘が有名ですが、近年では糖尿病などの生活習慣病や肥満にも、腸内フローラの乱れが関連していると考えられるようになってきています。
腸内フローラを形成する腸内細菌には「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類があり、人の腸に多く存在する日和見菌としては、「バクテロイデス門」と「フィルミクテス門」の2種類があります。
このうち、肥満を防ぐ作用があるとされるのが前者の「バクテロイデス門」です。バクテロイデス門の細菌は腸内で食べ物を分解する際に「短鎖脂肪酸」という物質を生成するのですが、この短鎖脂肪酸は脂肪細胞に働きかけることで脂肪を溜め込みにくくし、燃焼しやすくする働きがあるとされます。一方、「フィルミクテス門」は脂肪細胞に栄養を取り込ませる作用があるとされ、肥満に結びつきやすい細菌ともいわれています。
そして研究によって明らかになっているのが、肥満の人の腸内には「フィルミクテス門」が多く、食べても痩せている人の腸内には「バクテロイデス門」が多い傾向にあるということです。少食にも関わらず肥満ぎみの方の場合、こうした腸内フローラの問題が原因として潜んでいる可能性があります。
生活習慣病の一種・糖尿病はインスリン(すい臓から分泌される、血糖値を下げる効果のあるホルモン)が出にくくなってしまう病気ですが、その原因のひとつとして、先述の「短鎖脂肪酸」の減少が関わっているといわれています。この短鎖脂肪酸は脂肪の取り込みを抑制する作用があるだけでなく、インスリンの分泌を促進する効果もあるとされ、つまり短鎖脂肪酸が減ることはインスリンの分泌量の減少につながるとも考えられるのです。
短鎖脂肪酸を生成するバクテロイデス門の細菌が好むのは、善玉菌です。つまり、善玉菌を活性化させる食べ物を摂取することが、短鎖脂肪酸の生成や腸内フローラの改善、ひいては生活習慣病や肥満予防につながります。
善玉菌が主に餌にするのは、野菜や大豆製品、海藻類などに含まれる「食物繊維」、そして玉ねぎやバナナなどに含まれる「オリゴ糖」です。これら2つを日々の献立に取り入れ、栄養バランスのとれた食生活を心がけましょう。
腸内フローラが肥満や糖尿病などの生活習慣病に関わっている可能性がある、というのはなかなか驚きの情報だったのではないでしょうか。日頃から食物繊維をしっかりおかずに取り入れるなどして腸内フローラを整え、できることから発症予防を始めていきましょう。
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