マラリア原虫とは?原虫に感染したらどんな症状が出てくる?

2018/9/13 記事改定日: 2019/6/27
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

蚊に寄生し、マラリアという感染症のもとになるのが「マラリア原虫」です。
今回は、感染症の一種マラリアを引き起こすマラリア原虫について、その種類や症状の違い、そしてマラリアの予防・発症後の対策まで解説していきます。

マラリア原虫って?

マラリア原虫は、ハマダラカという種類の蚊に寄生する、寄生虫の一種です。
ヒトは、マラリアに寄生した蚊に刺されることでマラリアに感染・発症しますが、ヒトに感染する特性が確認されているマラリア原虫には以下の4種類があります。

マラリア原虫の種類

  • 熱帯熱マラリア原虫
  • 三日熱マラリア原虫
  • 四日熱マラリア原虫
  • 卵形マラリア原虫

上記のうち、ヒトがマラリアを感染・発症する場合に最も一般的なものは、熱帯熱マラリア原虫と三日熱マラリア原虫であるといわれています。
また、近年になってヒトに感染する第5のマラリア原虫として、新たに東南アジア各地でサル・マラリア原虫という原虫の存在も報告されています。

マラリア原虫に感染すると、どんな症状が出てくるの?

ここからは、前項で提示したマラリア原虫の種類別に、マラリアに感染・発症した場合に見られる代表的な症状を具体的にご紹介していきます。

熱帯熱マラリア原虫による症状

  • 継続的、または不規則な38℃以上の高熱
  • 異常行動、意識障害、発作、昏睡を伴う脳症
  • 寄生虫による赤血球破壊が原因の重度貧血
  • 急性呼吸逼迫症候群(ARDS)
  • 血液凝固異常による出血
  • 心臓血管係の不全による低血圧

三日熱マラリア原虫による症状

  • 48時間ごとの周期的な38℃以上の発熱
  • その他、悪寒、発汗、吐き気、嘔吐、頭痛、全身の筋肉痛や倦怠感

四日熱マラリア原虫による症状

  • 48~50時間ごとの周期的な38℃以上の発熱
  • その他、悪寒、発汗、吐き気、嘔吐、頭痛、全身の筋肉痛や倦怠感

卵形マラリア原虫による症状

  • 72時間ごとの周期的な38℃以上の発熱

マラリアを発症したらどんな治療をする?

マラリアを発症した場合の治療法は、感染している原虫の種類が熱帯熱マラリア原虫であるか、それ以外であるかによって変わってきます。

それぞれのケースの治療法は以下で解説します。

熱帯熱マラリア原虫に感染している場合の治療法

脳や内臓、赤血球などに合併症が見られる場合
基本的にはアルテミシニン系をベースとした併用療法と補助療法、輸液などの支持療法を使って、血液中の薬剤濃度を上げて寄生虫を排除していきます。
また、それぞれの合併症がこれ以上重症化しないよう、対症療法を取るケースもあります。
特に合併症が見られず、目立った症状が発熱のみである場合
アルテミシニン系をベースとした併用療法を使って、治療していきます。

三日熱・四日熱・卵形マラリア原虫に感染している場合の治療法

クロロキン、またはプリマキンという薬剤を投与し、体内の寄生虫を排除していきます。

マラリアを予防するためにできる対策はある?

マラリアは発症すると辛い症状が現れ、最悪死に至ることもある恐ろしい感染症です。

恐ろしいマラリアの感染を予防するためには、まず何よりもマラリア原虫を媒介する蚊に刺されないように対策することが大切です。
蚊による虫刺されを防ぎ、マラリアを予防するためにできる具体策としては、以下の方法が挙げられます。

  • マラリアを媒介するハマダラカが活動する、夕方から明け方の外出は避ける
  • 流行地で外出するときは、虫よけスプレーやローションを必ず使用する
  • 流行地での服装は、長袖・長ズボンを徹底して肌を守る
  • 蚊が繁殖しやすい戸外の雨水タンクや水たまりには、フタをするなどして対策する
  • ペット用の水、花瓶、花壇の水は最低でも週に1回以上取り換える
  • 蚊が室内に入ってこないよう、可能な限り戸や窓の開閉を減らしてエアコンを使用する
  • 流行地へ渡航するなら、清掃や網戸など蚊対策が整った宿泊施設を選ぶ

また上記に加え、マラリア予防に有効な抗マラリア薬の服用も効果的です。吐き気や頭痛、倦怠感などの副作用のリスク、妊娠中や小児の利用には注意が必要ですが、以下のようなケースでは抗マラリア薬の服用を検討しましょう。

マラリア予防のため、内服薬の使用が推奨されるケース

  • マラリアが非常に流行している土地へ渡航する場合
  • 流行地での長期滞在が予想される場合
  • マラリア発症時に十分な治療を受けられないと予測される場合

なお、抗マラリア薬の購入は、流行地・日本国内のいずれも基本的には自費となります。

マラリアの流行地域はどこ?

現在、マラリアは東南アジア、オセアニア、東欧、アフリカ、中南米、カリブ海地域などの熱帯・亜熱帯地域で流行しています。
とくに、西アフリカとオセアニアは旅行者の感染も多く報告されており、短期間の滞在であっても注意が必要とされています。

おわりに:マラリア原虫はマラリアを引き起こす寄生虫!

マラリア原虫はハマダラカを媒介し、マラリアを発症させる寄生虫です。ヒトには、主に4種類のマラリア原虫が感染症を引き起こすことがわかっています。マラリアを発症するとインフルエンザに似た症状が周期的に現れますが、熱帯熱マラリア原虫が原因の場合は、重い合併症から死に至る危険もあります。マラリア流行地に渡航する予定があるなら、感染予防策や適切な治療法については、きちんと理解しておきましょう。

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