いぼ痔の治し方って、症状によって違うって本当?

2018/9/18

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

いぼ痔に限った話ではありませんが、病気の治療は症状や進行度によって変わってきます。いぼ痔には内痔核と外痔核があり、とくに内痔核は初期には自覚症状がないため、治療が遅れがちです。
この記事では、いぼ痔の進行度による治療法の違いについて解説しています。手術が必要になるまえに早期治療を始められるように、きちんと覚えておきましょう。

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初期のいぼ痔の治し方は?

いぼ痔は、肛門の外側、または内側にイボのような腫れができる痔のことです。痔にはいくつかの症状がありますが、痔の症状を示す人の約半数がいぼ痔といわれます。

肛門よりも奥にできるいぼ痔を内痔核(ないじかく)、外側にできるものを外痔核(がいじかく)といいます。内痔核は、痛みなどの自覚症状がないまま症状が進み、排便時などに切れて大量に出血することがあります。
症状が進むと腫れが大きくなって肛門の内側におさまりきらず、肛門の外側に出てくるようになります。大きくなった内痔核からの出血は大量となり、出血によって貧血が起こることもあります。

肛門に違和感を感じる程度の症状は、まだ痔の初期段階である可能性があります。内痔核についてはGoligher(ゴリガー)分類で重症度を分類し、治療方法の選択に生かしていきます。
肛門の外側に腫れが飛び出ておらず痛みがない、さらに排便時に鮮やかな出血があるという段階は初期段階にあたります。この段階では手術は行わず、塗り薬や内服薬を用いたり、生活習慣の改善を行っていくことになるでしょう。

一方で、外痔核の典型的なものは急な腫れが起こって痛みが生じます。腫れの内部に血が溜まった状態で痛みが強い場合には血栓を取り除く手術を行うことがありますが、痛みがないときは薬を用いた治療のみとなるでしょう。

症状が進んだいぼ痔の治し方は?

いぼ痔のなかでも、特に内痔核は重症化していくことがあります。何もない状態でもいぼ痔が飛び出しているような状態や、飛び出したいぼ痔を押し戻そうとしても戻らないといった状態は、いぼ痔の症状が重症化し、内服薬や塗り薬を用いた治療だけでは改善が難しくなっている段階です。

状態によっては外来通院での注射療法やゴム輪結紮(けっさつ)療法での治療を行えることもありますが、麻酔のもとでの手術療法が選択されることもあります。手術には次の方法があり、両方を組み合わせて行うこともあります。

結紮(けっさつ)切除術

結紮切除術は、いぼ痔がつながった血管をしばって切除し、傷口も縫合する方法です。手術は短時間で済みますが、下半身だけ麻酔をして行うことや、術後は傷のチェックや、衛生面の管理、回復までの体調の管理など、ある程度の制限があるため入院で行われる方法です。

硬化療法:ALTA(ジオン)注射療法

いぼ痔に薬を注射し、血液の量を減らすことでいぼ痔を硬くし縮小させていく方法です。2005年から始まった治療方法で、実施には適切な技術を持っていることが必要です。そのため、実施機関は限られていますが、体への負担が少なく日帰りで行う病院もあります。

おわりに:お尻の痛みや違和感は放置してはダメ!早めの対処を。

いぼ痔は、男女ともに多くみられる痔の症状です。痔の症状は恥ずかしさを感じやすいことから、ついつい受診を先延ばしにすることもあるでしょう。しかし、重症化すると、入院して手術が必要となることがあります。初期の段階であれば、内服薬や坐剤、塗り薬といった薬物療法や、生活習慣や排便習慣の改善をしていくことで症状が改善することもあります。肛門に違和感を感じたら、早めに専門医を受診することが良いでしょう。

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