ベビ待ちさんが出生前診断を受けることのメリット・デメリットは?

2018/10/12

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

妊娠中の胎児に先天的な異常がないかを検査する出生前診断は、近年広く知られるようになってきました。
しかし出生前診断の目的や利点を、きちんと理解していない人も少なくありません。
今回はベビ待ちさんに向けて、出生前診断の検査方法やメリット・デメリットなど、出生前診断を受けるならあらかじめ知っておくべき事柄について解説していきます。

出生前診断とは

出生前診断の目的は「出生前に赤ちゃんの先天的な異常を知っておくことで、生まれるときまでに育ちやすい環境を準備し、整える時間をつくる」というものです。
方法としては、主にエコーで行う画像検査と、母児にほぼ負担なく染色体異常を検査できる侵襲なしの遺伝学的検査、そして侵襲ありの遺伝学的検査の3つがあります。

それぞれの概要と特徴は、以下の通りです。
(以下の3つの出生前診断すべてにおいて、基本的に保険は適応されず全額自費での診療となります)

画像検査
妊娠初期においては、妊娠11~13週ごろ、胎児の首の後ろのむくみなどをエコーでみることに加え、血液検査の結果を併せて胎児に染色体異常がある可能性を見積もることができます。まだ胎児が小さい週数での検査になるため、心臓など臓器レベルの先天異常をはっきりと指摘することはできません。また、中期以降において主だった臓器レベルの先天異常を検出するためのスクリーニングエコーを受けることもでき、こちらも出生前診断の一つです。
母子への負担はないものの、この検査だけで必ずしも胎児に先天的異常があるかどうかを判断できない「非確定診断」にあたります。
侵襲なしの遺伝学的検査
妊娠15~18週ごろに母体の血液検査を行い、胎児に染色体異常がある可能性を推定する方法です。
母子への負担がほとんどない検査ですが、あくまで統計的に胎児の染色体異常の有無を診断するため、エコー同様「非確定診断」にあたります。
侵襲ありの遺伝学的検査
ここまでに紹介した「非確定的検査」で、胎児に先天的異常がある可能性が高いと判断された場合に、診断を確定させるために行う「確定的検査」です。
方法としては、妊娠11~15週時点なら胎盤の一部である絨毛を採取した絨毛検査を、15週以降なら羊水を採取して行う羊水検査のいずれかで行います。
非常に高い確率で胎児の先天的異常の有無を見分けられますが、母子へのダメージが懸念されるため、実施には破水・出血・流産のリスクがあります。

最近注目されている母体血胎児染色体検査(NIPT)とは

侵襲なしの遺伝的検査で「非確定的検査」に分類されるものの、比較的高い精度で行える出生前診断の方法として、母体血胎児染色体検査(NIPT)が近年注目されています。

NIPTは母体からの20ccの採血のみで、以下3つの先天的な染色体異常をかなり高い精度で行えるのが大きな特徴です。ただし、あくまで確定診断を行う検査ではないこと、年齢によって診断精度に大きく違いが出ること(年齢が低い場合精度は悪い)に注意してください。

NIPTで検出できる3つの染色体異常

  • ダウン症候群(21トリソミー)
  • 18トリソミー症候群
  • 13トリソミー症候群

診断可能時期は妊娠10~22週までの間、上記3つ以外の遺伝子異常は検出できません。
日本では2013年から臨床研究の一環として行われるようになり、2018年3月現在、日本産婦人科学会の認定施設でのみ受けることができます。

出生前診断で陰性だったら障害のない赤ちゃんを授かれる?

前項で紹介した出生前診断を侵襲あり・なしを問わずすべて行っても、検出できる胎児の先天的異常の範囲は、限られたごく一部のみです。
このため出生前診断の結果が陰性でも、たとえ超音波で先天異常の指摘を受けていなくとも、生まれてから出生前診断の検出対象でない視覚や聴覚障害、自閉症など別の障害が判明する可能性は十分考えられます。

出生前診断は、胎児の障害の有無を100%診断して保証するものではありません。
あくまで胎児の先天的な遺伝子異常の一部をキャッチするためのものなので、出生前診断を行っていても、生まれてくる子供に障害がある可能性はゼロではないのです。

出生前診断を受ける?それとも受けないほうがいい?

出生前診断を受けるべきか否か、その決定権は親であるあなた方にゆだねられています。
しかし、どちらにしても出生前診断でわかる情報には限界があること、出生前診断では把握できない障害もたくさんあることは、きちんと把握しておいてください。

また、出生前診断を受けた結果胎児にダウン症など障害の可能性が見つかったとき、その現実をどのように受け止めるかの覚悟も必要になります。
仮に検査結果が「陽性」であった場合には、夫婦の選択によって子供を迎え入れる準備を進めることも、中絶を選択することもできます。

どのような道を選ぶのもあなた方次第ですが、出生前診断を受けるかどうか、また結果にどう対処するかは、あらかじめ夫婦でよく話し合っておくことが大切です。

おわりに:出生前診断は、メリット・デメリットまで理解してから受診を決めて

生まれる前に胎児の先天的異常をある程度検出できる出生前診断は、子供を迎える前の心の準備や、中絶という選択肢を持つためには非常に有用だといえます。しかし、検出できる先天的異常はごく一部であり、たとえ検査結果が陰性であっても胎児に100%障害がないと保証するものではありません。出生前診断の受診は、検査のメリット・デメリット、結果への対処をきちんと夫婦で話し合ってから、決定してくださいね。

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