胃薬の成分が認知症のリスクを高めるって本当?他に副作用はある?

2018/9/13

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ストレスや暴飲暴食が原因で胃の調子を壊し、胃薬を飲むことは少なくありません。
しかし近年、一部の胃薬の副作用として、認知症発症の危険性が指摘されているのをご存知でしょうか。
今回は胃薬の服用で起こり得る副作用について、認知症発症リスクとの関係や、症状に合った胃薬の選び方とあわせて解説していきます。

胃薬が認知症のリスクを高める可能性があるって本当?

胃薬のうち、主に逆流性食道炎などによる胸焼けに効果的な「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」という薬剤に、認知症発症リスクを上げる可能性があると報告されています。

これは2016年2月15日にアメリカの医学雑誌「JAMA Neurology」上で発表されたもので、ドイツの研究チームによって報告されました。

研究内容としては、認知症のない75歳以上の高齢者7万人に対し、PPIを服用している人とそうでない人で、持病などの影響を取り除いたうえで認知症リスクを比較したものです。その結果、PPIを服用している人はそうでない人に比べ、1.44倍認知症を発症するリスクが高いというデータが得られました。このことから、ドイツの研究チームがPPIの副作用の一種として「認知症発症リスクの上昇」があると疑うべき、との見方を示しています。

ただし、この研究結果には排除しきれなかった他の要因が影響した可能性もあるとされ、PPIが認知症リスクを高めると断言するには、さらなる研究が必要と結論付けていました。

これを受けて2017年6月、アメリカの研究チームはPPIによる認知症リスクの上昇との因果関係を調査した研究結果を発表しました。
するとアメリカチームの研究では、PPIを服用している人はそうでない人に比べて認知症リスクが低くなる、というドイツの研究結果とは正反対の研究結果が得られたといいます。

ただし、こちらの研究においてもドイツの研究と同様ベースライン時の心血管疾患やうつ病、糖尿病、高血圧、脳卒中などの有病率が高いなどの問題点が見られます。

このことから、PPIのような胃薬に認知症リスクを高める副作用があるかについては、なんともいえないというのが現状です。

胃薬の副作用って、認知症のリスク以外にもある?

胃薬の副作用として認知症リスクが上昇するかどうかは、今のところ不明です。
現時点で、胃薬の副作用としてわかっているものとしては、以下の症状が挙げられます。

  • 皮膚の発疹、赤み、かゆみの出現
  • 発熱、食欲不振
  • 黄疸や倦怠感を伴う、肝機能障害
  • 褐色尿
  • 貧血、白血球減少などの血液毒性

症状に合った薬を選ぶには?

副作用を理解したうえで、自分の症状に合った胃薬を選ぶことは、医療や薬の専門知識を持たない一般の人にとっては非常に困難です。自己判断で適当に薬を選んでしまうと、思いがけない副作用に見舞われて苦しい思いをする可能性もあります。

胃薬を選ぶときは、薬の専門知識を持つ薬局の薬剤師や登録販売者に相談しましょう。自分の症状・体質に合った副作用の少ない薬を選ぶことが、結果として副作用に苦しむことなく胃痛を和らげる近道となります。

おわりに:胃薬の成分には、認知症リスク以外にもいくつかの副作用がある

胃薬のうち認知症リスクを上昇させるという研究結果が報告されているのは、いまのところPPIのみです。ただこの研究結果には検証が不十分な点があるため、現時点で胃薬による認知症リスク上昇の副作用があると断言することはできません。

ただ、胃薬の種類によっては、皮膚や肝臓、血液に対して一定の副作用が起こりうることはわかっています。胃薬を選ぶときは薬剤師や登録販売者など専門家の力を借りて、自分に合うものを選んでください。

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