はしかの流行、「大人は関係ない」わけではない!その理由は?

2018/9/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「はしかの予防接種=子供が受けるもの」というイメージが強いかもしれませんが、はしかは決して大人が無関係な感染症ではありません。以降では大人がはしかに注意すべき理由について、お伝えしていきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

はしかの流行は大人も無関係じゃないって本当?

はしかとは麻疹ウイルス(Paramyxovirus 科 Morbillivirus属)によっておこる感染症で、空気感染、飛沫感染、接触感染によってヒトからヒトへと感染していきます。不顕性感染がほとんどないことが特徴で、感染すると90%以上が発症します。38℃前後の発熱や咳、鼻水、くしゃみといった上気道症状、結膜充血や目やにといった結膜症状、発疹が見られます。

はしかは特に大人になってから感染すると重症化しやすく、肺炎や中耳炎、脳炎といった合併症にかかりやすく、場合によっては死亡してしまうこともあります。

国立感染症研究所ホームページを編集して作成 】

特に気をつけるべき年代は?

はしかは、ワクチン接種によってはしかに対する免疫をあらかじめ獲得することで、多くの場合予防ができます。しかし、空白世代といって、2018年時点で25歳から40歳の方でははしかに対する免疫が不十分な可能性があります。その理由としては従来2回予防接種を受けることで十分な免疫を獲得できるはずの麻疹ワクチンを1978年から1988年ではワクチンが1回接種であったため十分な免疫が獲得できていないこと、1993年には一時ワクチン接種が中止されたことが理由となっています。

ただし、はしかは一度かかってしまえば再感染しませんので、空白世代であっても一度はしかにかかっている場合は二度と感染を起こしません。また、50歳以上の方もはしかの流行に伴い過去に感染している方がほとんどとなります。実際に医療機関に50歳以上ではしかに感染して受診する人は稀であるとされており、50歳以上の人もはしかに感染する可能性は極めて低いとされています。

はしかの流行から身を守るためにできることは?

はしかを予防するための方法は前述したように予防接種を行い、はしかに対する免疫を獲得しておくことが1番の予防方法となります。

また、空気感染、飛沫感染、接触感染であるため、手洗いやうがいを励行しましょう。はしかは感染力が強いため完全に予防することが難しいものの、やっておいて損はありません。マスクの着用は、はしかのウイルスが小さいということもあり、あまり感染予防に効果はないとされています。その他にも人込みを避けたり、はしかの流行している時期にはしかの流行している地域に旅行に行かないということも予防につながります。

なお、もしはしかの感染者と接触してしまった場合には、72時間以内にはしかの予防接種を打つことも感染予防として効果があるとされています。

厚生労働省ホームページを編集して作成 】

おわりに:大人のはしかは侮れない。空白世代は特に注意を

麻疹ウイルスの感染によって起こり、発熱や上気道症状、発疹などの症状が見られるはしか。大人になってからはしかに感染すると合併症や命の危険にもさらされやすくなります。
特に2回接種すべきワクチンを1回しか接種していない、あるいは未接種の空白の世代は注意が必要です。

はしかの予防はワクチンを接種することが最も効果的な方法ですが、手洗いうがいの励行、人込みを避けることも予防につながります。空白世代に該当する方は特に徹底してください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

麻疹(10) はしか(12) 麻疹ワクチン(3) 大人のはしか(1)