記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/23 記事改定日: 2019/5/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
クーラーで冷えきったオフィスで長時間過ごすうちに、冷えや倦怠感、下痢などクーラー病の症状が出てしまう方は、特に女性に多いです。そこで今回は、クーラー病や冷え性を撃退するために知っておきたい、「温活」の方法をお伝えしていきます。
うだるような暑さの屋外からクーラーの効いたオフィスに入ったときの「ひんやり感」は、とても気持ちがいいもの。しかしその気持ちよさはつかの間、オフィスで業務を続けるにつれて徐々に体は冷えていき、その結果肩こりや倦怠感、頭痛、下痢などの症状に見舞われることがあります。このように、クーラーで体が冷やされ続けたために自律神経が乱れ、体調不良に陥ることを「クーラー病」といいます。
クーラー病にならないためには、そもそもの原因であるクーラーを使わないことが一番ですが、すると今度は熱中症のリスクが上がってしまうのでそうもいきません。有効な対策としてはエアコンの温度を27~28℃前後に設定し、冷気が直接肌に当たらないようにすることが挙げられますが、多くの人が働くオフィスではその調整もままならないのが現実です。
そこでおすすめしたいのが、冷えを解消し、体を温める活動・「温活」です。カーディガンやひざ掛けといった外側からアプローチする防寒グッズとは異なり、内側から体を温めることで、クーラー病や冷え性の改善、免疫力の向上につながります。
体を温めるには、食事や入浴、運動といったちょっとした生活習慣をひとつひとつ改善していくことが有効です。
東洋医学では食べ物を「温・熱・平・涼・寒」の5つの性(食性)に分けてとらえており、このうち「温」「熱」はまとめて「温性」と呼ばれ、体を温める作用があるとされます。
具体的な温性の食べ物としては、しょうが、にんにく、ねぎ、チーズ、かぼちゃ、唐辛子などの香辛料が挙げられます。これらを日々のおかずに取り入れましょう。
肉や魚介類に含まれるタンパク質は、糖質や炭水化物よりも熱を生み出す作用が大きいので、十分な量を摂取することで体温の上昇につながると考えられます。
ビタミンEには血行を改善する作用があるとされます。うなぎやかぼちゃ、ナッツ類、ゴマ、モロヘイヤ、ごま油、ひまわり油などに豊富に含まれているので、炒め物として食べるのがおすすめです。
夏場はアイスや冷やし中華などの冷たいものを食べたくなるでしょうが、エアコンの効いた部屋でこうした冷たいものを食べると、内側からも体が冷やされてしまい、さらにクーラー病の症状が悪化しやすくなります。涼しい場所では、少し汗ばむくらいの温かいものを食べるようにしてください。
定期的な運動は血流を促進し、また筋肉量が増えて代謝や体温が上昇するので、体が冷えにくくなります。特に大きな筋肉は足やお尻にあるので、ウォーキングやスクワットなどで下半身を中心に鍛えるのがおすすめです。
夏はシャワーだけで済ませてしまう人も少なくないですが、体を温めるには湯船に浸かることが大切です。38℃くらいのぬるめのお風呂に、20~40分ほどかけてゆっくりと浸かるようにしましょう。この入浴法だと湯冷めが起こりにくくなります。
クーラー病や冷え性などの冷えは薬で改善するのは難しいと考えられていますが、次のような漢方薬には身体を温める効果のある生薬が含まれており、冷えによる諸症状を改善する効果が期待できます。
ただし、これらの漢方薬の効果には個人差があり、症状が改善しないにも関わらず漫然と使用を続けると思わぬ副作用を引き起こすことがあります。一週間ほど服用して目立った効果が実感できない場合は、服用を中止して病院で相談するようにしましょう。
暑いからといって冷たいものばかり食べたり、シャワーだけで済ませたりしていると、冷え切ったオフィスでは体温がますます低下して冷えが悪化してしまいます。カーディガンなどの羽織りものももちろん有効ですが、体を内側から温める「温活」もぜひ同時に実践してください。
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