記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
夏場に注意が必要な疾患の代表格・「熱中症」。暑いところに居続けたまま、水分補給をせずにいたりすると発症しますが、実は「クーラー病」の人はさらに発症リスクが高まるといわれています。その理由について、以降で解説していきます。
暑い季節がやってきたとき、まず発症に注意すべきなのが「熱中症」です。
熱中症は、高温多湿な環境に体の体温調節機能が追いつかず、体内に熱がこもってしまうことで、めまいや頭痛、吐き気、意識障害などの症状をきたした状態です。炎天下のなかスポーツで大量の汗をかいたり、湿度や気温の高い場所に長時間いたりすると、健康な人でも発症することがあります。特に体温調節機能が十分に発達していない子供や、温度に対しての感覚が鈍い高齢者はかかりやすいので注意が必要です。
この熱中症に関しては、テレビなどでよく注意喚起がされているぶん、対策ができている方も多いですが、一方で「クーラー病」にも注意が必要です。クーラー病とは、冷房からの冷気に長時間あたり続けたり、暑い屋外と冷えた室内を行き来したりすることで自律神経が乱れ、冷えや倦怠感、下痢、肩こりなどの諸症状をきたす状態のことです(医学的には正式な病名ではありません)。特に筋肉量の少ない女性や痩せている人は、クーラーのよく効いたオフィスに長時間居続けることで発症リスクが高まります。
先ほどお伝えしたとおり、熱中症は、体温調節機能が暑さに対応できないことが原因で起こります。そしてクーラー病の人は、冷え切った室内と暑い屋外との温度差を繰り返し体感したことで体温調節機能がすでに乱れている状態なので、健康な人と比べて熱中症の発症リスクが高いといえます。
クーラー病はそれ自体が命を脅かすものではありませんが、熱中症は命にかかわることがあります。また、クーラー病による体の冷えは免疫力の低下につながり、夏風邪などの感染症の発症要因にもなります。クーラー病の可能性のある人は、オフィスに防寒グッズを持ち込んだり、体を温める食べ物を習慣的に食べたり、定期的に運動したりなどの対策に努めましょう。
主に暑い屋外で起こる「熱中症」と、冷え切った屋内で起こる「クーラー病」は、一見対極の存在に思えます。しかしいずれも体温調節機能が発症に大きく関わっているので、クーラー病の人は熱中症にかかりやすい傾向にあります。特にご高齢の方でなくても、いつも寒いオフィスで働いているという方は対策に努めましょう。
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