記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/9/23
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠前からの代謝異常や妊娠中の合併症が原因で起こる妊娠糖尿病は、発症すると妊娠中のお母さんと赤ちゃんの健康に、重大な危険を及ぼす可能性があります。
今回は妊娠糖尿病について、病気による症状や有効な治療法、また治療による赤ちゃんへの影響などを解説していきます。
妊娠前は症状のなかった女性が、妊娠をきっかけにして糖代謝に異常をおこし、血糖値が高くなってしまう病気が「妊娠糖尿病」です。もともと遺伝的・体質的に糖尿病の資質を持っていた女性が、胎盤から分泌されるホルモンによって血糖の上昇を抑えられなくなり発症するケースが多いといわれています。
妊娠糖尿病は、妊娠前から糖尿病に罹患していた妊婦との区別のために「糖代謝異常症」とも呼ばれ、さらに以下2つに分類されます。
ちなみに、妊娠前から糖尿病を発症していて妊娠中も引き続き血糖が高い状態が続く場合は「糖尿病合併妊娠」と区別して呼称されます。
なお、妊娠中に発症する糖代謝異常には「劇症1型糖尿病」もあります。
劇症1型糖尿病とは、妊娠をきっかけに膵臓にあるβ細胞が急速に破壊されることが原因発症し、めまいや昏睡、腹痛などを引き起こすケトアシドーシスに陥ることがあります。
糖尿病合併妊娠や妊娠糖尿病など妊娠に伴う血糖値上昇は、いずれも放っておくと赤ちゃんとお母さんの命に危険を及ぼすリスクもあるので、早急に治療すべき病気なのです。
妊娠糖尿病の治療は、食事療法と運動療法をメインに行われます。
基本的には、このような食事療法・運動療法を続けながら血糖値を計測・管理し、無事に出産を迎えられるよう治療してくかたちになります。
食事や運動での血糖コントロールがうまくいかない場合は、インスリン投与による治療が行われます。
インスリンとしては妊娠中の使用でも安全性が確認されている下記のようなものが使用されます。
なお、インスリンの効き目は妊娠時期によって大きく変わり、妊娠初期には効きやすく、妊娠後期になって出産が近づくほど効きにくくなります。これに伴い、妊娠後期にかけてインスリン投与の量や頻度は増えるのが一般的です。
妊娠糖尿病の治療でインスリンを使用するときは、医師の指示に従って種類や量を適宜変更することになりますので、必ず指示は守りましょう。
妊娠中にインスリン投与しても、胎盤を通してインスリンが赤ちゃんに届くことはありません。
上記で紹介したインスリンであればおなかの赤ちゃんに悪影響が及ぶことはありませんので、安心して治療を続けてください。
妊娠をきっかけとする身体の変化から、血糖値が高い状態が続くようになる妊娠糖尿病。その治療は、まず薬を使わない食事療法と運動療法から行われます。食事と運動指導を続けても血糖値が正常に戻らない場合のみ、インスリンを投与して治療します。
また、妊娠中に適しているインスリンであれば、妊娠中に投与しても赤ちゃんに悪影響がないことが確認されています。医師の従いながら、血糖コントロールを続けていきましょう。
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