記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
季節が移り変わり、急に肌寒くなったり、日中と夜の寒暖差が激しくなったりすると、多くの人が風邪を引くようになります。今回は、こうした季節の変わり目の風邪の、特徴的な症状についてお伝えしていきます。
「季節の変わり目は風邪を引きやすい」とはよくいいますが、春から夏、夏から秋、秋から冬、そして冬から春、それぞれの時期で流行る風邪の種類は少しずつ違います。
まず、風邪の原因の80~90%はウイルス感染によるものです(ほかは細菌感染やアレルギー、寒さなどによるもの)。なので風邪のウイルスにしぼって説明すると、夏にはアデノウイルスやエンテロウイルス、コクサッキーウイルスなどの湿気に強いウイルスが、冬にはインフルエンザウイルスやライノウイルスなどの乾燥に強いウイルスが流行します。そして春と秋には、ライノウイルスやその前後の季節のウイルスが流行しています。そのほかにも、秋から春にかけてはRSウイルスが原因の風邪を引く人も多いです。
冬の終わりから春先にかけては、日中の気温は高めなのに夕方から急激に冷え込んだり、また日によって暖かい日と寒い日が交互に続いたりするため、気温の変化に適応できず体調を崩しやすい時期といえます。
この春に引くことの多い風邪の原因ウイルスが、ライノウイルスです。ライノウイルスに感染すると、1~3日ほどの潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。
また、RSウイルスによる風邪も少なくありません。2~8日ほどの潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。
これらは大人が感染した場合、いずれも1週間程度で軽快することがほとんどです。
夏風邪の原因ウイルスとして多いのが、エンテロウイルスとアデノウイルスです。
特にエンテロウイルスによる感染症は夏~秋にかけて多く発生し、子供の夏風邪としてよく知られる手足口病やヘルパンギーナを起こすウイルスもこのエンテロウイルス属です。基本的には乳幼児が感染することが多いですが、大人でも免疫をもっていなければ、飛沫や糞口感染によって感染します。
エンテロウイルスの潜伏期間はおよそ3~7日間で、次のような症状が特徴になります(感染したウイルスの種類によって症状は異なります)。
一方、アデノウイルスはプール熱(咽頭結膜熱)やはやり目(流行性角結膜炎)などを引き起こすウイルスです。
はやり目の場合は、目の充血や目やになどの目の症状が主ですが、プール熱の場合は以下の症状をきたすようになります。
夏の終わりから秋にかけては、急に肌寒くなることや、日中の寒暖差が激しいことなどから、春先同様に風邪を引きやすい時期です。
春の風邪の項でご紹介したライノウイルスやRSウイルスがこの時期の主な風邪ウイルスですが、秋の終わりになるとインフルエンザが流行するようになります(冬の風邪の項でご紹介します)。
基本的に秋の風邪で出る症状は春先の風邪の症状と変わりませんが、急に空気が乾燥するために、特に喉の痛みが強くなりやすい傾向にあります。また、高熱に見舞われることは少ないものの、いつまでも咳が止まらないなど、それほど強くない症状が長引きやすいのも秋風邪の特徴のひとつです。
冬の風邪としては、ライノウイルスやRSウイルスによるものが多いですが、その他に注意すべきなのがインフルエンザウイルスです。
インフルエンザは毎年11月~3月の寒い時期を中心に、急激に流行します。ほかの風邪と比べて症状は強く、感染してから1~2日後に以下のような症状が現れます。
このほか、喉の痛みや鼻水などの上気道の炎症を伴う場合もあります。なお、熱は3~4日ほど経った頃から下がりはじめ、それとともに全身症状も軽快し、10日以内には回復するのが一般的です。ただ、小さな子供や高齢者など抵抗力の弱い人は、肺炎を併発して重症化する恐れがあるので早期の治療が重要になります。
ひとことで「風邪」といっても、暑い時期や寒い時期など、その季節によって流行しやすい風邪ウイルスは異なります。いずれも日頃の手洗い・うがいや規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事などが予防のカギとなっていきますので、季節の変わり目には特に予防を徹底しましょう。
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