微熱っていったい何度くらいのことを言うの?風邪以外に出ることは?

2018/9/18

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

微熱が出たら、まず風邪を疑う人が大半だと思いますが、微熱が続くような病気はたくさんあります。そのなかには、早期に治療をしないといけないような病気があることをご存知でしょうか。
この記事では、微熱の定義や微熱の原因になる病気について解説しています。

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微熱って何度くらいのことを言うの?

一般的な微熱とは、平熱とされる35~37℃未満の体温から37~38℃ほどになった状態のことで、38℃以上の状態を高熱と言います。ただし平熱には個人差があるため、同じ体温でも微熱と呼ばれる状態であるかどうかは異なります。
また体温は、一般的に午前中は低く正午~夕方にかけて最高値になり、変動の幅が約0.5℃あるなどの特徴もあるため、それらについても考慮する必要があります。

微熱が出たときに考えられるのは、やっぱり風邪?

風邪とは、ウイルスに感染することで発症し、鼻や喉などの上気道に急性の炎症が起こる疾患のことです。
一般的にはまず、鼻水、くしゃみ、喉の痛みなどの症状が現れて、それに次いで発熱、頭痛、寒気、全身のだるさなどが起こります。

発熱については微熱程度で治まることもあるので、たんなる風邪が原因のこともあるでしょう。ただし、微熱で始まっても、急に39~40℃ほどの高熱が出ることもあり、このようなときはインフルエンザなどが疑われますので油断しないようにしてください。
また、B型インフルエンザのように、微熱が続く程度で高熱が出ないインフルエンザもあります。微熱とともに以下のような風邪の症状があるときは、念のため病院で検査してもらいましょう

鼻水、せき、くしゃみ
鼻や喉に付着したウイルスを洗い流すために鼻水が出たり、異物を体外に排出するために咳やくしゃみが起こります。
たん
喉や気管支に炎症が発生すると、粘膜が腫れて充血が起こり、大量の粘液が分泌されるようになります。たんとは、その粘液の塊が体外に排出されるものです。
喉の炎症
感染源が体内に侵入することにより、発熱が起こります。
風邪ではあまり高熱になることはありませんが、インフルエンザや細菌などによる二次感染が引き起こされると高熱が発生することもあります。

風邪だけじゃない!微熱はほかの病気のサインになっていることも

微熱は風邪の症状として現れていることが大半ですが、以下のような危険な病気が原因になっていることがあるので注意が必要です。

肺結核

結核菌に感染すると、咳、たん、微量(肉眼では見えない程度)の血液が混入したたん、微熱などの症状が2週間以上持続するなどの症状が出ます。ただ、初期の状態では自覚症状がない場合もあります。

胆のう炎

胆嚢に腸内の大腸菌などが侵入することにより、胆嚢の粘膜に炎症が頻繁に起こる病気です。
熱は微熱から始まり、次第に38℃ほどまで上がっていきます。みぞおちから上腹部の右側にかけて起こる不快感や痛みが起こり、吐き気、嘔吐などの症状が併発します。

急性虫垂炎

盲腸の先にある虫垂に炎症が起こる病気です。急激な腹痛、吐き気や嘔吐、発熱の症状が現れます。熱に関しては、初期のことは微熱程度のことが多いといわれています。

慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)とはウイルスや細菌による感染が頻繁に起こることにより、副鼻腔(鼻の周辺の空洞)に膿が溜まる状態のことで、粘り気のある鼻水、頭痛、微熱、集中力の低下などの症状が現れる病気です。

膀胱炎

膀胱内で細菌が炎症を起こす病気で、再発を繰り返すことも少なくありません。
はっきりとした症状が現れないこともありますが、特徴的な症状として、頻尿や排尿時の痛み、尿のにごり、血尿などがあります。微熱がみられることもありますが、発熱症状(とくに高熱の場合)は、腎盂(じんう)腎炎に発展している兆候の可能性があるので注意が必要です。

腎盂腎炎

腎臓内にある腎盂に細菌に感染して発生する病気です。急性の場合は悪寒に伴い高熱が発生し、慢性化した場合は、微熱の持続、尿の濁り、血尿、背中から腰にかけて感じる痛み、吐き気、嘔吐などの症状が起こります。

尿路結石

尿路(腎臓・腎盂・尿管・膀胱・尿道)に結石ができる病気です。どの部位に結石があるかによって症状の特徴も変わってきますが、排尿トラブル(排尿時の痛み、血尿、残尿感など)、腰や下腹部に起こる七転八倒するほどの激しい痛み、発熱、吐き気や嘔吐などの症状が現れます。

感染性心内膜炎

心臓の弁膜の感染症で、病巣がはがれると心不全、脳梗塞、脳出血などの深刻な合併症に発展する恐れがある病気です。歯周病や先天性の心臓病、ステロイドの服用、抜歯や手術、内視鏡検査などが要因になることがあります。風邪など思い当たることがないのに37℃くらいの微熱が続いている人で、上記のような持病や治療歴がある場合はは注意が必要です。

おわりに:微熱が続く=風邪とは限りません

一般的な微熱とは発熱して37~38℃ほどになった状態のことで、風邪以外にも微熱を伴う病気として、肺結核、慢性胆嚢炎、虫垂炎、慢性副鼻腔炎、膀胱炎などさまざまな病気があります。微熱が続いている場合は、原因を特定するために念のため病院で検査してもらいましょう。

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