食物繊維とは―昔は食べ物の「残りカス」と思われてたって本当?

2018/10/4

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

便秘解消の強い味方ともいわれる「食物繊維」ですが、そもそも食物繊維とは具体的にどのようなものなのでしょうか?また、以前はあまり重要視されていなかったというのは本当なのでしょうか?食物繊維の働きや食べ方のコツなどについて解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

食物繊維ってどんなもの?

食物繊維とは、人間の消化酵素では消化ができない食物中の成分のことで、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維とを食物繊維と呼びます。これらには以下のような違いがありますが、どちらの食物繊維も必要不可欠な栄養素で、排便をスムーズにする効果が期待できます。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維とは水に溶けるタイプの食物繊維のことで、腸内で水に溶けてゼリー状になった後、粘着物質となり、糖分と消化酵素の接触を防ぐ効果があります。また、血糖値の上昇を抑制してコレステロールの排出を促進する効果もあります。

水溶性食物繊維を多く含む食品は、糖分の消化・吸収スピードを緩やかにする作用があるため、体重が気になる人にもおすすめです。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維とは水に溶けないタイプの食物繊維のことで、腸内で水分を吸収しながら膨らんでいき、腸の働きを活発にする作用があります。

食物繊維って昔は役立たずと思われてたってホント?

以前は、食物繊維は「エネルギーにならない」「必要な栄養素の消化・吸収を阻害する」食べ物のカスだと思われていました。
しかし、1971年代にイギリスのバーキット博士により「食物繊維仮説」という、食物繊維の摂取量が少ないと大腸がんの発生リスクが高くなるという研究結果が発表されてからは、食物繊維は体に必要不可欠な栄養素であると位置づけられるようになったのです。

食物繊維が豊富に含まれる食べ物ってどんなもの?

食物繊維が多い食品には、以下のようなものがあります。

穀物
白米に麦を混ぜた麦ごはん、胚芽米、分づき米、ふすま入りや全粒粉を使用したパンやシリアルなどには、食物繊維が多く含まれています。
いも
いもの中でも特にさつまいもやこんにゃくには食物繊維が豊富に含まれています。
ただし、こんにゃくは食べてもほとんど消化されないため、エネルギーが非常に少ない食品だとされています。
豆にも食物繊維が多く含まれているため、煮豆やおからなどの常備菜にしていつでも食べられるようにしておくといいでしょう。
おからにも、食物繊維が豊富に含まれています。
野菜
加熱してカサを減らしたり、汁物に入れて具だくさんにすると、食べやすくなり手軽に食物繊維を摂取することができます。
果物
果物にも食物繊維が含まれているため、外食続きで野菜不足のときには果物で摂取するのもいいでしょう。
海藻・きのこ
海藻やきのこは食物繊維が豊富でエネルギーが非常に少ない食品です。
1日1回は摂取するようにするといいでしょう。

また、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維ごとで分けると、以下のようになります。

水溶性食物繊維が豊富な食べ物
こんにゃく、らっきょう、いんげんまめ、じゃがいも、ごぼう、ケールの青汁など
不溶性食物繊維が豊富な食べ物
こんにゃく、おから、しいたけ、まいたけ、あずき、グリーンピースなど

1日にどのくらい食べればいいの?

食物繊維の適切な摂取量は、年代や性別により異なります。日本人の食事摂取基準(2015年版)に記載されている食物繊維の目標量では、「18~69歳は1日あたり男性20g以上、女性18g以上」となっています。

しかし、年代ごとの食物繊維の摂取量調査結果によると、実際の食物繊維の摂取量は10~40代では非常に少なく、摂取量が最も多いとされる60代でも目標量には僅かに届いていないことがわかりました。

食物繊維は、不溶性・水溶性の種類によって体に及ぼす作用が異なるため、様々な食品を組み合わせて摂取することが大切になります。
日頃から食物繊維の豊富な食品を食べるようにしましょう。

おわりに:目標量を参考にきちんと食物繊維を摂取するようにしましょう

食物繊維とは、人間の消化酵素では消化ができない食物中の成分のことで、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維があります。食物繊維の目標量として「18~69歳は1日あたり男性20g以上、女性18g以上」が一つの目安となります。さまざまな食品を組み合わせて日頃から食物繊維を摂取するようにしましょう。

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