食物繊維って、一日にどのくらい食べればいい?うまく食べるコツは?

2018/10/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

食物繊維は1日どれくらい摂取すればいいのでしょうか?また、うまく食べるコツはあるのでしょうか?食物繊維の摂り方について解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

一日に必要な食物繊維の摂取量は?

生活習慣の予防のために必要とされる食物繊維摂取量は、成人の場合1日24g以上、可能であれば1000kcalあたり14gを摂取するのが望ましいとされています。
しかし、平成27年に実施された国民栄養健康調査での実際の摂取量は、20歳以上の場合平均1日15gほど(75歳以上で平均1日15.9g)しか摂れていないことがわかりました。

そのため、現在目標量されている摂取量の目安は、理想値と実際の摂取量の中間を取って、成人男性の場合は1日20g以上(70歳以上は19g以上)、成人女性の場合は1日18g以上(70歳以上は17g以上)とされています。

食物繊維を食べるメリットって?

食物繊維は水溶性と不溶性に分けられ、水に溶けやすい性質を持つ水溶性食物繊維には血糖値の上昇を抑制する作用や、腸内で発酵して善玉菌の繁殖を促進する腸内環境を作る作用があります。

そして、食物繊維が豊富に含まれている食材にはよく噛む必要のあるものが多いため、食べ過ぎ防止にもつながります。また、腸内にいる善玉菌が食物繊維をエサに短鎖脂肪酸を産生して、これが血液中に出ると、脂肪細胞が細胞を溜めこむのを防止して太りにくくなるとされています。

食後血糖値が上昇すると、糖尿病のリスクが高まる、血液中の糖が急激に上昇してコラーゲン組織と結びつくことで弾力性が低下しシワやたるみの原因となる、コラーゲン組織でできている骨も食後血糖値の上昇に伴いもろくなったり折れやすくなる、などの症状が起こるようになります。
食物繊維にはこれらの原因となる食後血糖値の上昇を抑制する作用があります。

また、食物繊維には、動脈硬化の原因となるLDLコレステロールの排出を促進する作用があるため、動脈硬化が原因となって発症する恐れのある脳卒中や心筋梗塞の予防にも繋がります。

食物繊維を上手に食べるコツは?

食物繊維を簡単に取り入れる方法として、朝食にシリアルを食べるのもおすすめです。

シリアルの中には1食で5gほどの食物繊維を摂れるものもあります。シリアルを購入する際には、ブランやファイバーと記載されているものを選ぶといいでしょう。

なお、白米や通常のパンよりも玄米や全粒パンの方がより多くの食物繊維が含まれているため、お米やパンを購入する際はそちらを選ぶようにしましょう。玄米や全粒パンは1食で約2gの食物繊維を摂取することができるとされています。

また、スープの中に野菜を多く入れたり、スパゲティーにブロッコリーやニンジンを加えるなど、様々な食品に食物繊維の豊富な野菜を入れて食べるようにし、豆にも食物繊維が豊富に含まれているため、生野菜に混ぜたり、豆料理を作るなど意識的に摂取するようにしましょう。

そのほか、デザートを選ぶときはお菓子を選ぶのでなく、できるだけフルーツを選ぶようにしましょう。リンゴ、バナナ、オレンジ、梨、イチゴなどがおすすめです。どうしてもスナックのような食感が恋しいときは、減塩低脂肪のポップコーンやナッツで代用することをおすすめします。

食べるときのポイント

穀類は血糖値を上昇させやすい食物のため、ごはんに昆布や豆を混ぜ込んだり、パスタの具にキノコ類や野菜を入れたりなど、食物繊維の豊富な食材を一緒に摂取することで、血糖値の急激な上昇が防げます。

また、食物繊維には、消化器官内にある胆汁酸を絡め取って便として排出させる作用があります。
そのため、肉類などのコレステロールを多く含む食品を食べる際には、サツマイモや里芋などの芋料理を添えたり、根菜や豆などの惣菜をプラスするなど、食物繊維を多く含む食材を加えるようにしましょう。

そして、食物繊維を摂取する時は乳酸菌を多く含む食品と一緒に摂るのがおすすめです。乳酸菌はヨーグルト、キムチ、ぬか漬けなどに豊富に含まれています。
また、食物繊維を多く含む果物と一緒にヨーグルトを食べると、手軽に両方を摂取することができます。

便秘ぎみのときは、食べ方に気をつけよう!

食物繊維には整腸作用やダイエット効果がありますが、摂り方には注意が必要です。食物繊維は消化しにくい栄養素のため、胃腸が弱っている時には無理に摂取する必要はありません。また、よく噛まずに食べたり、食材に火がきちんと通っていないと、消化する際に胃腸に負担がかかるため、調理法にも注意しましょう。

また、便秘の人が食物繊維の豊富な食材を生のまま大量に摂取すると、一時的に体調が悪くなる場合があります。食物繊維を多く含む食材はしっかりと加熱して少量ずつ食べるようにしましょう。

おわりに:食べ方を工夫して食物繊維を効果的に摂取しましょう

現在食物繊維の摂取量の目安は、成人男性の場合は1日20g以上(70歳以上は19g以上)、成人女性の場合は1日18g以上(70歳以上は17g以上)とされています。食物繊維を食べるときは、穀類やコレステロールの多い食品を食べるときに食物繊維をプラスするなど、他の食品とうまく組み合わせて摂取するといいでしょう。

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