食物繊維をいっぱい食べれば、便秘はスッキリ解消できる?

2018/10/6

工藤 孝文 先生

記事監修医師

工藤内科 副院長 工藤孝文先生のスマホ診療できるダイエット外来

工藤 孝文 先生

食物繊維をたくさん食べれば便秘を解消できるのでしょうか?また、便秘を解消するためには食物繊維を摂取する他にどのようなことを行えばいいのでしょうか?食物繊維の正しい食べ方や便秘の解消方法について解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

便秘になったら食物繊維を摂ればいいの?

食物繊維は便秘の改善に有効といわれますが、便秘の人の腸内は、蠕動運動が低下しているため、不溶性食物繊維を過剰に摂りすぎると便のかさが大きくなり便が進みにくくなってしまいます。そうして便が大腸内に長時間留まっていると、便が腸に水分を吸収され硬くなってしまうのです。

また、便秘が重症の人は、大麦、玄米、サツマイモ、ごぼう、にんじん、ほうれん草、小松菜などの不溶性食物繊維を多く含む食材の摂り過ぎにも注意しましょう。

食物繊維は便の状態によって、水溶性か不溶性か摂取すべき栄養素が異なります。
以下のことを参考に、うまく使い分けてください。

水溶性食物繊維

便が硬くて強くいきまないと排便されないという人は、水溶性食物繊維と摂取しましょう。

特に、腸内環境を整える働きのあるヨーグルトに、食物繊維を含むりんごを食べやすい大きさに切って加える、りんごヨーグルトがおすすめです。
さらにその上に蜂蜜をかけると、蜂蜜に含まれているオリゴ糖が善玉菌のエサとして作用します。

不溶性食物繊維

便の量が少なくて蠕動運動が低下している下痢気味の人は、不溶性食物繊維を摂取しましょう

特に、味噌汁に食物繊維を豊富に含むきのこを入れて作る、きのこの味噌汁がおすすめです。腸内環境を整えるほか、きのこをよく噛んで食べることにより満腹感が得られやすくなります。

また、発酵食品で食物繊維が豊富な納豆を、副菜として取り入れるのもおすすめです。
食物繊維だけでなく、水分も十分に摂取して便秘改善をはかりましょう。

バランスも重要!

不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の割合の比率は、2:1が理想的なバランスだとされています。納豆、りんご、押し麦、アボガドなどには、このような理想的なバランスで2種類の食物繊維が含まれているため、積極的に摂取するといいでしょう。

便秘を解消するために、食物繊維のほかに気をつけることは?

水分を摂ることで便を軟らかくすることができるため、毎朝起きたらコップ1杯の水を飲む習慣を付けましょう。特に冷たい水や牛乳には腸を刺激して排便を促進する効果があります。
また、朝食を食べると、体内の老廃物などが体外に排出されるため、きちんと朝食を摂取するようにしてください。

ごぼう、玉ねぎ、にんにく、バナナ、アスパラガス、ライ麦などに豊富に含まれているオリゴ糖には、腸内細菌であるビフィズス菌を体内で増殖させる効果があり、味噌や納豆などの発酵食品にも同様の効果があるとされています。食物繊維と一緒に、ヨーグルトや味噌、納豆などの発酵食品を食べるようにしましょう。

そのほか、腸を刺激して排便を促進する効果のある、果物、香辛料、酢、アルコール飲料、炭酸飲料などの食品を活用することで便秘が解消されることもあります。

生活リズムの改善

朝便意を感じた時にトイレに行けるように、時間に余裕を持つようにしましょう。毎日規則的にトイレタイムを持つことが大切です。そして、毎日適度な運動や腹部マッサージをすることで、腸の働きを活発にすることができます。毎日規則正しく運動する習慣をつけましょう。

注意点

上記で述べた便秘解消法は「弛緩性便秘」に対する対処法のため、ストレスや自律神経失調症が原因で引き起こされる「痙攣性便秘」に対しては全く異なる食品選択が必要となります。痙攣性便秘の場合は、食物繊維を多く含む食品や刺激性の高い食品はむしろ逆効果となるため、避けるようにしましょう。

また、頑固な便秘が長期間続いている場合は、医師の処方による薬物の使用が必要となることがあるため、一度医療機関を受診しましょう。

おわりに:便秘のタイプに合わせた食物繊維の摂取を

便秘解消には食物繊維の摂取が有効ですが、食物繊維を摂りすぎると便のかさが大きくなりさらに便秘が悪化してしまうこともあります。そのため、便秘が重症の人は食物繊維の過剰摂取に気をつけつつ、自分の便秘に合ったタイプの食物繊維を摂取することが重要です。また、朝食を毎日食べたり、朝決まった時間に排便するなど、食物繊維以外にも便秘解消に役立つ習慣を取り入れるようにしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

便秘(133) 食物繊維(102) 水溶性食物繊維(7) 不溶性食物繊維(8)