記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
水溶性食物繊維の成分である「難消化性デキストリン」とはどのような成分なのでしょうか?また、どのような作用をもつ成分なのでしょうか?難消化性デキストリンについて解説していきます。
難消化性デキストリンとは、とうもろこし等の天然のデンプンを焙焼してアミラーゼ(デンプンを消化する酵素)で加水分解した後、その中に含まれる難消化性成分を取り出して調製した水溶性食物繊維のことです。デキストリンとは、デンプンの仲間です。
難消化性デキストリンは、低粘性、低甘味で溶けやすい性質を持ち、水に溶かすと透明で耐熱性、耐酸性に優れた性質を発揮します。また、ミネラルの吸収を阻害せず、様々な生理機能を持つため、色々な食品に利用されています。
元々は日本人の食生活の欧米化に伴い、不足がちとなった食物繊維を補う目的で作られました。
難消化性デキストリンは、米国FDA(食品医薬品局)によって、1日の摂取量の上限値を特に定める必要がないとされるほど、安全な食品素材であるとされています。また、消費者庁長官が許可する特定保健用食品(トクホ)の関与成分にもなっています。
過去に行われた安全性を確認するヒト試験で、難消化性デキストリンを1日3回毎食前に10g摂取するのを16週間続けたところ、血圧などの生理学的検査値の変化や、その他の臨床検査値、血清タンパク質およびカルシウム・マグネシウム・鉄などのミネラル濃度の変化にも異常が認められませんでした。
また試験期間中の消化器症状(下痢など)も認められず、安全であることが確認されています。
難消化性デキストリンには、以下のような効果が期待できます。
単糖類や二糖類とともに難消化性デキストリンを摂取する試験では、難消化性デキストリンは単糖類のブドウ糖や果糖の吸収には影響しない一方、二糖類の麦芽糖の消化・吸収には影響を及ぼして食後血糖値の上昇を抑制する効果が認められました。
また、食事とともに難消化性デキストリンを摂取する試験では、でんぷんを消化する過程で生成される麦芽糖の消化を抑制して、食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果があることがわかりました。
難消化性デキストリンには、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を改善する働きがあるなど、整腸作用に関与する生理作用が認められており、摂取することにより糞便量および排便回数の増加が見られることが試験により報告されています。
糞便量と排便回数を増加させるためには、難消化性デキストリンを1日5gまたは10g摂取すると効果的であるとされています。
食事と一緒に難消化性デキストリンを摂取すると、食事に含まれている脂肪の吸収スピードが遅くなり、食後血中中性脂肪の上昇が緩やかになるとされています。
そのため、お腹周りに脂肪がついている人や、脂肪を多く含む食品をよく食べる人に特に効果的です。
また、BMI23以上の成人男性36人を対象として行われた、難消化性デキストリン9gを含む茶飲料あるいは含まない茶飲料を摂取した試験では、難消化性デキストリンを摂取した人の内臓脂肪量および血中中性脂肪値の抑制効果が認められました。
難消化性デキストリンには、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛の吸収を促進する効果が認められています。また、血液中の鉄成分が低値の女子大生が難消化性デキストリンを4週間毎日15g摂取した試験では、血清鉄値の上昇と改善効果が認められました。
摂取量の目安には個人差がありますが、基本的には1日5~10g程度の摂取が望ましいとされています。ただし、1日10g(大さじ2杯程度)を超える量を摂ると過剰摂取となり、以下のような症状が出ることがあるので注意しましょう。
難消化性デキストリンとは、食生活が偏っている人や高齢者・シニアが不足しやすい食物繊維を補う目的で作られた水溶性食物繊維の成分です。難消化性デキストリンには、食後血糖の上昇抑制作用、整腸作用、食後血中中性脂肪の上昇抑制作用、内臓脂肪の低減作用、ミネラルの吸収促進作用などがあります。ただし、1日10gを超える量を摂ると過剰摂取となるため、注意しましょう。
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