腱鞘炎が関節リウマチの症状になっていることもあるの?治療法は?

2018/10/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

関節が腫れ、変形してしまう関節リウマチですが、腱鞘炎の症状が起こることもあるのでしょうか。関節リウマチの症状や原因、治療法など、全般的な情報をお伝えしていきます。

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関節リウマチの症状に腱鞘炎があるの?

関節リウマチは、体の免疫が自分の組織を攻撃して壊してしまう自己免疫疾患のひとつです。人間の体は、外から侵入してくるウイルスや細菌などに対して体を守るための免疫という仕組みがあります。自己免疫疾患は、何らかの要因で自分の体の細胞や組織を攻撃対象と間違って攻撃してしまう病気の総称です。

関節リウマチは、幅広い年代で生じます。男性でも発症しますが、特に30〜50代の女性が多く診断されています。関節を支えている骨や軟骨、周辺の組織を対象として攻撃します。関節が熱をもったように腫れて、動かすと痛みます。特に朝はこわばりが強く起こります。

また、関節に水が溜まったり腱鞘炎(けんしょうえん)が生じることもあります。腱(けん)は、手や足の骨と筋肉を結びつけている組織です。腱は、腱鞘(けんしょう)という鞘(さや)にくるまれていますが、腱や腱鞘に炎症が起こることを腱鞘炎といい、腫れたり、動きに影響が出たりします。肩やひじ、股関節(こかんせつ)、ひざ、足首といった大きな関節のほか、手足の指の付け根や、第二関節といった末端の関節にも影響が現れます。そのため、日常生活に影響が出ることも少なくはないでしょう。

関節以外にも症状が出るの?

関節以外にも全身に起こる症状があります。微熱や体重の減少、貧血、リンパ節の腫れなどのほか、息切れやだるさ、疲れがとれないといったことを感じることもあります。

また、肺では「リウマチ肺」とも呼ばれる間質性肺炎(かんしつせいはいえん)や、肺線維症が合併しやすくなります。間質性肺炎や肺線維症は、肺そのものの組織におこる病気です。息切れや空咳が生じたり、肺に水が溜まることもあります。

リウマチの炎症が長く続くと、アミロイドというタンパク質が体に溜まるようになります。心臓や腎臓に溜まれば、心不全や腎不全の原因となります。

関節リウマチになるのはどうして?

関節リウマチの発症の原因は、まだ明らかになっていない部分がありますが、いくつかの関連する遺伝子が見つかっています。ただし、遺伝子があるからといって確実に発症するわけではありません。妊娠や出産、更年期といった女性特有の要因や、感染症、喫煙、歯周病といった、複数の要因が関係しているのではないかと考えられているところです。

腱鞘炎など、関節リウマチの症状がみられたらどうすればいい?

関節リウマチは、以前は何年もかけてゆっくりと進行する病気だと考えられていました。しかし、最近の研究において、発症すると急速に関節の組織が壊されることがわかってきました。目に見える症状が少なくても、関節内の炎症が急激に進んでいるということです。

関節リウマチは完治をすることは難しく、病気の進行を抑えることと、できるだけ痛みを取り除いて生活をしやすくすることが治療の目的になります。体に負担の少ない日常生活を送りながら、薬物療法やリハビリテーション、外科的な手術を組み合わせていきます。早期に発見して早期に治療を始めることが、症状の進行を抑えるとともに、生活への影響を少なくするためにも大切とされています。

関節リウマチかどうかを判断してもらうためには、できればリウマチ専門医の受診が望ましいでしょう。膠原病科やリウマチ科がわかりやすいですが、整形外科や内科でも専門医が在籍していることがあります。かかりつけ医に相談をして、紹介してもらっても良いでしょう。

おわりに:気になる症状があるときは、早めにリウマチ専門医に相談を!

関節リウマチは、本来は体を守るはずの免疫が自分を攻撃してしまう、自己免疫疾患のひとつです。30〜50代の女性に多くみられ、妊娠や出産、閉経と行った女性の体の変化や、喫煙や歯周病など生活習慣の関与も疑われています。関節リウマチは早期発見し、早期に治療を開始することで、病気の進行をゆっくりにし、痛みのコントロールも行えます。リウマチ科や膠原病科に在籍するリウマチ専門医を受診すると良いでしょう。

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