記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
糖尿病などの診断基準となる「血糖値」ですが、そもそもこの血糖値とは何を表す数値なのでしょうか。また、どのくらいの数値が正常値なのでしょうか。
血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことをいいます。ブドウ糖は血液中から全身に運ばれて、生きていく上で利用されていきます。
血糖値は食事の内容や量、運動やストレスなどに影響され、1日の中でも大きく変動します。
血糖値を調べるときは、食事の影響を考慮しつつ下記の3つの方法で行われます。
1つ目は随時血糖検査といい、食後から時間を決めずに血糖を測る検査です。
2つ目は早朝空腹時血糖検査といい、検査当日の朝食を抜いた状態での血糖検査です。
3つ目は75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)といい、検査当日の朝まで10時間以上絶食した空腹のまま採血をした後にブドウ糖75gを水に溶かしたブドウ糖液を飲み、ブドウ糖負荷後、30分、1時間と2時間後に採血し、血糖値を測る検査です。
血糖値の正常な値は空腹時の状態で110mg/dL以下、75gOGTT2時間後で140mg/dL以下とされています。
この値よりも血糖値が下回ると低血糖となりますが、低血糖として症状が出現するのは70mg/dL以下となります。
70mg/dLを下回ると人の身体は血糖値をあげようとします。さらに血糖値が50mg/dL未満になると、脳などの中枢神経がエネルギー不足の状態になることによって症状が出現します。
また、70mg/dLを下回らなくても低血糖の症状が出現していた場合には低血糖という診断をすることもあります。
血糖値が低くなると、低血糖症状が出現します。
具体的には血糖値が70mg/dL以下になると、交感神経症状である冷や汗、不安感、手や指の震え、頻脈、顔面蒼白といった症状が出現します。
50mg/dLほどになると、中枢神経症状である頭痛、集中力の低下、生あくび、目の霞みといった症状が見られます。さらに血糖値が下がり50mg/dLを下回ると異常行動、痙攣、昏睡などが見られ、命にも危険を及ぼす可能性があります。
低血糖の数値になればすべての人に低血糖症状が出現するというわけではなく、中には無自覚性低血糖という場合もあります。
無自覚性低血糖とは血糖値が下がっても代表的な低血糖症状があらわれず、そのまま血糖値が下がり続けてしまうことを言います。意識障害や昏睡などの重篤な中枢神経系の症状が突然あらわれてしまう低血糖です。そのため、自覚しない間に命の危険を及ぼしているということも多々あり、注意が必要となります。
糖尿病の罹病期間が長く、糖尿病の合併症で自律神経が障害されているときや、一度重度の低血糖を起こしたことのある人に起こりやすいとされています。
低血糖状態にならないために、日ごろからどのようなことに注意していくべきなのでしょうか。
まず低血糖を起こしたことがある場合には、どのようなタイミングで低血糖を起こすのかを把握し、同じ状況に陥らないように対策に講じましょう。また、空腹時の運動も低血糖を起こす誘因となるため、空腹時の運動も控えることが望ましいでしょう。
過食には注意し、少量の食べ物を少しずつ食べるようにしたり、よく噛んで食事をしたり、空腹時にはタンパク質、サラダ、炭水化物の順で食事をするなど食事の習慣も見直しましょう。食事と食事の間隔を長く開けないようにすることも予防につながります。
さらに、脂肪の多い食事や糖質の多い食事を控え、ビタミン・ミネラルの豊富な食事を行うことで、膵臓を休ませることができ、低血糖予防にもつなげることができます。
低血糖を予防するためには空腹時の運動を避けること、食生活を見直すことなどが鍵となります。自分の血糖値や生活習慣を知り、低血糖を予防していきましょう。
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