記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
低血糖症状のひとつにめまいがありますが、この低血糖によるめまいが起こりやすいのはどんな人でしょうか?また、どのような対処法や予防法を行えばいいのでしょうか?
通常は、血糖値が低下するとインスリンの分泌量が減り、血糖を上昇させるホルモンが分泌されることで血糖値がコントロールされますが、食事の量や食事の間隔、運動量などによってコントロールが難しくなることがあります。そして血糖値の調節がうまくいかなくなると中枢神経の機能が低下し、動悸、冷や汗、手指の震え、空腹感、頭痛、めまい、意識障害などの様々な症状が起こります。
こうした低血糖の症状が特に起こりやすい人は、糖尿病患者さんです。糖尿病になるとインスリンの分泌が通常通り行えなくなる場合が多く、特に薬物療法を行っている人は低血糖になりやすいです。
低血糖は放置すると意識障害、昏睡などの症状が出てくるため、迅速な対応をすることが必要になります。
インスリン製剤や経口血糖降下薬の用法・用量と、食事療法や運動療法のバランスが乱れると、低血糖になりやすくなります。具体的には以下のような場合に起こりやすいとされています。
また、以下のような薬剤を使っている場合も、低血糖に陥る可能性が上がります。
低血糖と思われる症状が現れたら、まずはブドウ糖(粉砂糖や角砂糖)を摂取して、安静にしましょう。運転中や水泳を行っている最中に低血糖の症状が現れた場合は、すぐにそれらを中止して処置を行ってください。
まだ意識がある場合は、ブドウ糖を5~10g含むものや、砂糖を10g、ブドウ糖を含むジュースを150~200mLを摂取しましょう。ただし、ブドウ糖や砂糖以外の糖分は効果が出るまでに時間を要するため注意する必要があります。
それらを摂取して15分ほど経過しても症状が改善しない場合、もしくは血糖値が60mg/dL以下の場合は、再びブドウ糖や砂糖、ジュースなどを摂取しましょう。
それでも症状が回復しない場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。
また、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している人は必ず、普段からブドウ糖を常備しておくようにしましょう。砂糖などの多糖類は分解や吸収が抑制されてしまうため、低血糖の対処としては不十分になってしまいます。
そして、ブドウ糖を自分で摂取することが難しい場合は、身近な人や家族などに口に含ませてもらったり、くちびるや歯肉に塗りつけてもらう、グルカゴン1バイアル(1mg)を家族に注射してもらう、などの対処をしてもらえるように備えておきましょう。
また、処置が終った後すぐに、主治医に連絡をするか医療機関を救急受診するようにしてください。
以下のような症状が現れたときは、早急に医療機関を受診しましょう。
自分の低血糖の症状やなりやすい状況などを知り、それを予防するための対策を行うことが大切になります。状況によっては、食事療法や薬の量について主治医と相談する必要があります。
運動したときに低血糖になりやすい人は、空腹時の運動を控えるようにしましょう。とくに、1型糖尿病の人、インスリンやSU薬を使用している人の場合は必要に応じて捕食を摂る必要があります。また、長時間続ける運動や、負荷の多い運動を行う前後には、なるべく血糖値を測るようにしましょう。
糖尿病の人で運転をする人は、車内に必ずブドウ糖やブドウ糖を多く含む食品を備えておくようにし、無自覚性血糖があり自身で血糖値のコントロールができない人は運転は避けましょう。運転をする前には血糖値を測り100mg/dL以上であることを確認し、運転中に低血糖の症状が起こりそうなときはすぐにハザードランプ点滅させ、路肩に停車させてブドウ糖を補給しましょう。
なお、外出時に低血糖を起こしたときに備えて、糖尿病患者であることを示す「糖尿病患者用IDカード(緊急連絡用カード)」を常に財布などに携帯しておくことをおすすめします。
このカードは日本糖尿病協会から発行されているもので、入手を希望される場合はかかりつけの医療機関に問い合わせてみてください。
糖尿病患者さんは、特に低血糖によるめまいを起こしやすいといわれています。低血糖が起きたらブドウ糖やブドウ糖を含む食品を摂取して、それでも回復しない場合は医療機関を受診しましょう。自分で対応できないときには周囲の人に対処してもらうことが必要となります。
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