食物繊維を野菜で摂るなら「レタス」がいいの?おすすめの野菜は?

2018/10/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

飲食店の広告などで「レタス○個分の食物繊維」というフレーズを目にすることがありますが、食物繊維を効率よくとるには、野菜ならレタスが良いということでしょうか?以降で詳しく検証していきます。

食物繊維ってどんなもの?

「食物繊維」は、『人の消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体』と定義されており、人が吸収できない食品成分として腸内細菌のかすなどとともに便となって排出されるものです。

食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、溶けない「不溶性食物繊維」の大きく2種類に分けられます。

水溶性食物繊維は腸内で水に溶けてゼリー状の粘着物質となり、栄養素の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑制したりコレステロールなどを吸着して体外への排出を助けます。

一方の不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収して膨らみ腸壁を刺激してその動きを活発にすることで便秘の予防に役立つほか、有害物質を吸着させて体外に排出する働きがあります。

どちらも野菜などに多く含まれており、特に水溶性食物繊維を多く含むものとして、コンニャク、ラッキョウ、インゲンマメ、ケールの青汁、ゴボウ、ワカメなど海藻類、ジャガイモなどのイモ類などがあります。また、不溶性食物繊維はあらゆる植物に含まれ、特にコンニャク、おから、シイタケなどキノコ類、あずき、グリーンピースなど豆類に多く含まれます。

「レタス○個分の食物繊維」って多い?少ない?

よく食物繊維の量を「レタス○個分」と表現している広告などがありますが、実はレタスにはそれほど食物繊維は多くありません

1日に必要とされる食物繊維をレタスだけで満たそうとすると、女性でも1日に4~5玉の量が必要となります。食物繊維はレタス100gあたり1.1gしかなく、そのうちの1gが不溶性、水溶性は0.1gです。一方、たとえば食物繊維を多く含むゴボウであれば100gに約6.1gも含まれ、きんぴらや煮物の小鉢1つで約3g摂ることができます。

広告などでは、表現にインパクトを持たせるためにあえて食物繊維の少ないレタスを使ってアピールしているのかもしれません。消費者側にはそれらをきちんと見極める目が必要です。

野菜で食物繊維を摂るなら、何を選ぶのがおすすめ?

日本人の食事摂取基準によると、食物繊維の摂取目標量は成人男性で1日20g以上、成人女性で1日18g以上となっており、不溶性:水溶性=2:1となるのが理想です。しかし現在のところ、平均摂取量は1日あたり13~15gという状況で、特に若い世代では理想の6~7割しか摂取できていません。

野菜から食物繊維を効率よく摂るなら、比較的含量の少ない葉物野菜より、ゴボウやダイコンなど食物繊維量、不溶性と水溶性のバランスに優れた根菜類がおすすめです。

可食部100gあたりの含量をみると、ゴボウは不溶性3.4g+水溶性2.3gで計5.7gの食物繊維が含まれています。また、おろし大根は5.1g(3.7g+1.4g)、水戻ししたワカメは5.8g、ゆでたキクラゲは5.2g(0g+5.2g)シイタケは4.2g(3.8g+0.4g)、皮をむいたニンジンで2.4g(1.8g+0.6g)です。よく使われる葉物野菜では、ホウレンソウが2.8g(2.1g+0.7g)、リーフレタスが2.1g(1.4g+0.5g)、キャベツが1.8g(1.4g+0.4g)、ハクサイが1.4g(1.0g+0.4g)となっています。

おわりに:野菜から効率良く食物繊維を摂るなら、葉物野菜より根菜類を

実はレタスはそれほど食物繊維が多い野菜ではありません。野菜から効率的に食物繊維を摂取するなら、比較的食物繊維の少ない葉物野菜より根菜類がおすすめです。特にゴボウや大根などは、食物繊維量、不溶性と水溶性のバランスも優れています。

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