記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
健康や美容のために、積極的に摂るべき栄養素の一種とされる食物繊維。
でも、具体的にどのくらい摂るのが適切かご存知ですか?
今回は1日あたりに摂取すべき食物繊維の適量について、食物繊維の過不足で起こり得る影響などとあわせて、解説していきます。
2020年版の日本人の食事摂取基準によると、18歳以上が摂取すべきとされる1日当たりの食物繊維量は男性が20g以上、女性なら18g以上です。
しかし、平成27年度国民健康・栄養調査によると、実際の1日当たりの食物繊維の摂取量平均は男性が15.4g、女性は14.7gだったと報告されています。
つまり、日本人男女の1日当たりの食物繊維摂取量は、平均で4~5g不足しているということになります。
現代の日本人にとって食物繊維は、意識的に摂るようにしなければ、極めて不足しやすい栄養素であるといえるでしょう。
食物繊維が不足すると、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病をはじめ、動脈硬化や虚血性心疾患、大腸がんなどを発症するリスクが高まると考えられています。
食物繊維には、唾液の分泌を促したり腸内環境を整えて便通をよくするほか、脂質や糖質など生活習慣病の原因となる栄養素の吸収を抑制する働きがあります。
腸をはじめ消化器官の調子を整えて身体の毒素排出や代謝を高めてくれる作用があるため、摂取することで上記のような病気の予防効果が期待できるのです。
食物繊維は本来、人間の消化器では消化・吸収できない栄養成分です。
このため、過剰に摂取し過ぎると他の食べ物に含まれるビタミン・ミネラルなどの栄養素の吸収を阻害したり、水を吸って膨らみ便秘の原因となる場合があります。
健康と密接にかかわり意識的に摂るべきとされる食物繊維ですが、摂りすぎもよくありませんので、あくまで適量を意識して摂るようにしましょう。
先述したような「日本人の食物繊維不足」の傾向は特に20~30代の若者に強く、若者だけに限定すると、1日当たりの食物繊維摂取量は13g程度にまで落ち込みます。
このような若者世代の食物繊維不足は、40代以上と比べて欧米的な食生活になりやすいこと、そしてごはんや食事量を減らす無理なダイエットが影響していると考えられます。
近年では、便秘などの身体症状から食物繊維不足を自覚し、これを改善しようと食事ではなくサプリメントから食物繊維を補おうとする人も増えてきました。
しかしながら、サプリメントによる食物繊維の摂取には注意点もあります。
固形や液体、錠剤やカプセルまで食物繊維を含むサプリメントにはいろいろな種類がありますが、いずれも食物に含まれる繊維質とは異なる性質を持っています。
このため、一説には食事から摂取した食物繊維には期待できる大腸がん予防の作用が、サプリメントでは得にくくなるというデータも報告されているのです。
あくまでサプリメントは栄養摂取のメインとなる食事をサポートするためのものと捉え、食物繊維は豆類やイモ類、キノコ、海藻などの食材から摂るよう習慣づけましょう。
食物繊維が豊富なごはんを主食としていた日本人は、かつては世界的に見ても多くの食物繊維を摂る食生活を送っていました。しかし現代では、若者を中心に日本人全体に食物繊維不足の傾向が見られ、意識的に摂らなくては不足しやすい栄養素となっています。サプリメントではなく、イモや豆、海藻などの食材から毎日適量の食物繊維を摂れるよう、食生活を見直してみましょう。
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