低血糖になりやすい原因は?症状が出たときはどう対処すればいい?

2018/10/22

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

低血糖になりやすくなるのには、どのような原因があるのでしょうか?また、症状が現れたときはどのように対処すればいいのでしょうか?
ここでは、低血糖になりやすくなる原因や発作時の対処法について解説していきます。

低血糖になりやすい原因はどこにある?

低血糖は、インスリン製剤や経口血糖降下薬の用法・用量と、食事療法や運動療法のバランスが乱れることなどにより引き起こされます。特に以下のような場合に起こりやすいため注意が必要です。

  • 薬剤の飲み間違え、打ち間違え(薬の種類、用量、時間の誤り)
  • 飲み薬の働きを強める薬を併用したとき
  • 食事時間が普段より遅い、食事量が普段より少ない(不規則な食事)
  • 激しい運動や長時間の運動をしたとき(特に運動中や運動後、時間をおいて運動をした日の夜間や翌朝に起こりやすくなります)
  • インスリン注射を行った直後に運動をしたとき
  • 飲酒
  • 入浴時
  • 病気や検査などで食事量が減ったり絶食を行ったとき
  • シックデイ(糖尿病の人が風邪や体調不良により食事が摂れない状態)で血糖値の変動が大きくなりやすいとき

また、服用している薬剤の特性により低血糖が起こりやすくなることもあります。以下のような薬剤を使用している場合は注意しましょう。

食前の低血糖に注意が必要な薬
SU薬、中間型インスリン製剤、時効型溶解インスリン製剤
食後の低血糖に注意が必要な薬
速効型インスリン分泌促進薬、速効型インスリン製剤、超速効型インスリン製剤

低血糖になるとどんな症状が出てくるの?

血糖値が68mg/dL以下になると拮抗ホルモンのグルカゴンなどが分泌され始めます。そして、53mg/dL以下まで血糖値の低下が進むと、自律神経の乱れにより発汗や手足の震え、体が熱く感じる、動悸、不安感、吐き気などの症状が現れます。

そのまま血糖値が48mg/dL以下まで低下すると、脳細胞のエネルギーであるブドウ糖の欠乏により脳細胞の活動に影響が出てきます。中枢神経症状として、集中力の低下、錯乱、脱力、眠気、めまい、疲労感、ろれつが回らない、物が二重に見えるなどの症状が現れるようになり、さらに血糖値が48mg/dL以下になっても糖分を補給せずにいると、意識障害が起こって自分で対処をすることができなくなります。
そのまま処置をしなければ低血糖昏睡となり、最悪の場合は死に至ることもあります。

また、上記以外にも自律神経とも中枢神経の症状ともいえないような、空腹感、霧視(霧の中にいるように見える状態)、頭痛などが起こることもあります。

ただ、症状だけで自分が低血糖かどうかを判断できないこともあるでしょう。そのため、低血糖になりやすい人(特に糖尿病の人)は、自分が低血糖であるかどうかを判断するために血糖自己測定を行い、血糖値を確認することをおすすめします。

血糖値が60mg/dL以下の場合は低血糖となりますが、70mg/dL以下でも低血糖の自覚症状がある場合は、砂糖・ブドウ糖・糖分を多く含むジュースなどで糖分を補給しましょう。

低血糖状態に陥ったら、どう対処すればいい?

低血糖症状が起こったときや血糖値の検査で低血糖とわかったときは、ブドウ糖を摂取することが大切です。まずブドウ糖を10~15g摂取し、15分ほど経過しても症状が改善しない場合や血糖値が60mg/dL以下の場合は、もう一度ブドウ糖を摂取してください。

もし運転中に低血糖が起こったときは、周囲の安全確認を行った後、どこかに一時駐車するなど一旦運転をやめてください。また、低血糖が起こりそうな日(長時間飲食できない状況のときなど)は、車の使用を避けるようにしてください。

薬物療法を受けている人は、必要なときにすぐに取り出せるように車、机、スーツ内のポケット、バッグなどの中にブドウ糖を常備しておくようにしましょう。万が一低血糖のときに手元にブドウ糖がない場合は、ブドウ糖が含まれている市販のジュースを100~150mLほど飲用しましょう。

ちなみに普通の砂糖では、摂取してから分解されてブドウ糖になるまでに時間を必要とするため、効果が出るのが遅れてしまいます。
特にSU薬やインスリン注射を併用している人は、必ずブドウ糖を常備しておくようにしましょう。

家族など、身近な人が対処する場合

ご家族や職場の人などが、糖尿病患者さんの異変(一点を見つめて動かない、話しかけても反応がないなど)に気づいた場合は、まず意識レベルを確認するためにいくつか質問をしてみて、低血糖を起こしている疑いがある場合は、ブドウ糖をコップ半分の水に溶かしたものを飲ませましょう。飲み込むことが難しいようであれば、くちびるや歯肉にブドウ糖や砂糖を塗りつけるなどの対処を行います。

それでも症状が改善しなかったり、昏睡に陥っている場合は、医師から処方されているグルカゴンを1バイアルを注射する必要があります。

グルカゴン注射をしてから5分以内に回復が見られない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。意識が回復した場合は、糖分もしくは炭水化物を1~2単位ほど摂取させてください。低血糖の原因となる薬物が体内に残留していると、一度回復した後に再び低血糖が起こる恐れがあるため注意しましょう。

また、外出時に低血糖が起きた場合に備えて、糖尿病であることを示すIDカード(氏名、自宅・病院の連絡先などが記載されたもの)を身に着けておく習慣をつけ、糖尿病のご家族がいる場合も同様に身に着けさせるようにしましょう。

おわりに:低血糖が起こったときのために、準備をしておきましょう

低血糖は主に、インスリン製剤や経口血糖降下薬の用法・用量と、食事療法や運動療法のバランスが乱れることにより引き起こされます。低血糖が起こったときはまず、ブドウ糖を摂取することが重要です。ただ、自分が昏睡状態に陥ったときのために、ご家族など周囲の人に必要な対処法を共有しておくようにしてください。

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