記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
手足の震えや発汗、頭痛などは比較的よく知られる低血糖の症状ですが、低血糖が重症化すると、昏睡状態に陥ることがあります。以降ではこの低血糖による昏睡状態への適切な対処法や、後遺症のリスクについてお伝えしていきます。
低血糖が起こったらまず、ブドウ糖・砂糖・ジュースなどの吸収しやすい糖質を10g摂取して安静にしましょう。その後10分経過しても症状が改善しない場合は再度摂取してください。症状が回復した後、食事をまだしていない人の場合は食事を摂り、そうでない場合はご飯・パン・ビスケットなどの炭水化物を1~2単位摂取しましょう。
ただ、もし昏睡状態に陥っていたり、意識障害を起こしている場合はすぐに医療機関に行く必要があります。病院を受診した際の処置に役立つこともあるため、糖尿病手帳を日頃から持ち歩くようにしておくと安心です。手帳には氏名、通っている病院の連絡先、服用している薬、インスリンの量などを記載しておきましょう。
自身が低血糖状態になってしまい、意識がおぼつかなくブドウ糖を自分で摂取することが難しい場合は、第三者に
などの対応をしてもらう必要があります。事前に低血糖になりやすいとわかっている場合は、家族や親しい友人などに対応方法を覚えてもらいましょう。
特に1型糖尿病など、重篤な低血糖を起こす可能性が高いとされている人は、発作時にグルカゴン注射を注射する必要があることを身近な人達にも確実に伝えておき、予め注射の仕方やブドウ糖の携帯場所の共有などをしておくようにしてください。
血糖値が60mg/dL以下の低血糖になると、血液中のブドウ糖の濃度が低下することで、以下のような症状が起こります。
そしてさらに血糖値が低下すると、昏睡に陥ることがあります。
ブドウ糖は脳の活動に必要不可欠なエネルギー源のため、血糖値が低くなり過ぎると脳が正常に働けなくなり、昏睡を起こしてしまうのです。
低血糖は、食事量が少なかったり、食事時間が普段よりも遅くなったり、激しい運動をしたり、空腹時に運動をすることなどが原因で起こります。また、インスリン治療を受けている人の場合は、インスリンの量と比べて食事量が少なかったり、インスリンを打った後に食事を摂らなかったり、インスリンを過剰摂取すると、インスリンの効果が強く働きすぎて血糖値が過剰に低下してしまい、低血糖になってしまいます。
また、アルコールを摂取すると、分解する際にブドウ糖が使用されるため、血糖値が下がり低血糖になりやすくなります。
低血糖の症状で意識障害が起きても、体内のブドウ糖が全部消費されるわけではなく、脳の細胞自体にもブドウ糖が少なからず残っています。
そのためすぐに後遺症が残るというわけではないのですが、乳幼児期に重度の低血糖を何度か繰り返すと発達が障害されるリスクがあったり、成人が重度の低血糖を頻繁に起こすと問題が残る可能性があると考えられています。
また、昏睡が長時間続くと脳に浮腫が発生して、早くに治療をしないと後遺症が残ったり、生命に危険が及ぶ可能性があるため、低血糖は早期に対処して重症化を防ぐことが重要となります。
低血糖になったらまず、ブドウ糖などの吸収しやすい糖質を摂取して安静にするのが基本ですが、昏睡状態を起こしている場合はすぐに医療機関を受診する必要があります。低血糖の症状で意識障害が起きてもすぐに後遺症が残るというわけではありませんが、重度の低血糖を頻繁に起こしたり昏睡が長時間続くと問題が残る可能性があるため、早期に対処して重症化を防ぐことが重要となります。
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