記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/13 記事改定日: 2019/5/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胃潰瘍になってしまった場合、病院ではどのように治していくのでしょうか。また、治療期間中はどんなことに注意すればいいのでしょうか。
ここでは、胃潰瘍の治療のときの注意点について解説しています。
イライラ、過労、睡眠不足、緊張、不安などの精神的・肉体的ストレスは、胃に負担をかけ胃潰瘍の原因となることが多く、特に急性の強いストレスは急性胃潰瘍の原因になることがあります。
ただ、現在の医学では、胃潰瘍の7割以上はピロリ菌によるものとされていることから、胃潰瘍の主な原因はピロリ菌をみる考え方が主流です。また、ピロリ菌以外では、非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)の副作用が原因になる胃潰瘍の原因のケースも多く見られます。
そのほかでは、
などの食習慣、生活習慣が影響することもあります。
現在では、胃潰瘍に対して効果的な薬の開発が進んでいるため、胃潰瘍で手術をするケースは少なくなってきています。
初期の胃潰瘍や緊急性がない胃潰瘍では、上記で説明したような「原因と考えられる行動や習慣」の改善と薬物療法から治療が始められます。
薬物療法では、攻撃因子を弱めるために酸を抑制する作用のある制酸剤を使用し、防御因子を強めるために粘膜保護剤を使用します。これらは症状の改善や治癒促進、再発予防などを目的として行われるもので、回復までには服用から1週間以内程度かかるといわれています。ただし、症状が改善した後も再発予防のために薬を服用し続けることもあります。
また、胃潰瘍の原因の多くがピロリ菌感染であることから、再発を予防するためにピロリ菌の除菌治療がすすめられることもあるでしょう。ピロリ菌の除菌治療では、抗生物質や制酸剤を使用し、3ヶ月後にきちんと除菌されているかを確認して治療完了となります。ただし、副作用として一時的に下痢、便秘、味覚障害などが起こることがあり、副作用が強く出てしまい日常生活に支障があるような場合は除菌治療を中止します。
吐血や下血、貧血症状がある場合など、出血が疑われる場合は手術が検討されますが、現在は開腹手術ではなく内視鏡を使って処置できるケースが増えてきてます。
胃穿孔などの重症例や大量出血が疑われ内視鏡での止血が難しいと判断された場合や、一部の極端な合併症がある場合などには開腹手術や腹腔鏡下での手術が検討されます。
食べ過ぎや栄養の偏りを避けることは大切ですが、食事量を減らしすぎてエネルギーやタンパク質などの体に必要な栄養素が不足しないように注意する必要があります。
食欲があまりないときは、間食の量を少し増やすなど、栄養不足にならないように工夫するようにしましょう。
また、早食いの人はよく噛むように心がけて、お酒も控えるようにしましょう。
などの繊維や脂肪を多く含む食品は消化しにくいです。また、こしょう、とうがらし、にんにく、わさび、しそ、みょうが、にらなどの胃に刺激を与える食材も控え、空腹時に濃いコーヒー、紅茶、炭酸飲料などを飲用することも避けてください。
極端に熱すぎる汁物や、冷たすぎる飲み物、塩味の強い漬物や干物、塩辛などの塩分の強い食品、酸味の強い酢の物なども胃に負担がかかりますので避けるようにしましょう。
胃潰瘍の療養中は食事以外にも次のようなことに注意して過ごしましょう。
また、胃潰瘍は悪化や再発を繰り返すことがありますので、黒色便やめまい、動悸など消化管出血が疑われるような症状が見られた場合にはなるべく早めに病院を受診するようにしましょう。
胃潰瘍の7割以上はピロリ菌によるものだとされていますが、その他にもストレス、ピロリ菌、胃に負担のかかる食事や薬の服用などが原因となり起こることがあります。
胃潰瘍の治療では主に薬物療法や除菌治療が行われますが、大量出血がある場合、胃カメラでの止血が難しい場合、穿孔などの重篤な症状がある場合、一部の極端な合併症がある場合などには手術が必要となることがあります。
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