記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肝臓はレバーとも呼ばれ、栄養の宝庫といわれる臓器です。
肝臓の働きはさまざまで、肝臓が病に侵されると私たちの体のあちこちに異常をきたします。
そこで今回は、肝臓がどのような臓器なのか、肝臓の働きや、その機能が低下するとどうなるのか、説明していきます。
肝臓は、体の中でも最も大きい臓器です。大人の肝臓の重さは体重の約50分の1で、およそ1~1.5kgの重さといわれています。お肉屋さんなどで見かけるレバーはこの肝臓のことで、豊富に栄養を含んでいる臓器でもあります。
肝臓は、肝鎌状間膜(かんかまじょうかんまく)により固定され、右葉と左葉の左右2つに分けられています。また、肝臓は血液を多く含んだスポンジのような臓器でもあり、血液を送り込む血管が2種類あります。
この血管の一つ目は、門脈と呼ばれる血管で、消化管や膵臓、脾臓からの栄養分や解毒すべき成分を含んだ血液を肝臓に運んでいます。二つ目は肝動脈といって、肝臓に酸素を送る働きをしている血管です。
このように肝臓は大変複雑な作りをしており、昼夜休むことなく体の代謝の中心となっています。医学が発展した現代でも、完全な人工肝臓を作ることはできません。
肝臓の主な働きは3つに分類されます。
私たちの体は、食事によって得られた栄養をそのまま利用することはできません。肝臓で利用しやすい物質に変化させて貯蔵し、必要に応じて分解を行い、エネルギーなどを作り出しています。これを代謝と呼び、病気などが原因で肝臓の機能が低下すると、代謝も低下します。
代謝が低下すると、食事を摂っても必要な物質やエネルギーに変化されにくくなり、代謝の異常があらわれます。例えば、血液を固める働きをもつ蛋白質は肝臓で作られているため、代謝の異常があらわれると血が固まりにくくなるなどの症状があらわれます。
例えば、タバコに含まれるニコチンやお酒に含まれるアルコール、特定の薬剤は肝臓に負担をかけ、運動した際に筋肉がブドウ糖を燃やしてできる乳酸は、血液中にたまると疲労感のもととなります。肝臓はこれらの体にとって有害な物質を分解し、毒のない状態へ変化させます。
しかし過剰にアルコールを摂取したり、薬剤を摂取しすぎたりすると、肝臓の解毒作用が追い付かず、肝臓に大きな負担がかかります。
解毒がうまく行われなくなると、体が黄色くなる黄疸が出たり、アンモニアが上昇して脳の働きの障害(肝性脳症)が引き起こされたりします。
肝臓では、脂肪や脂溶性ビタミンの吸収を助ける胆汁の生成・分泌が行われています。この働きによって脂肪は腸から吸収されやすくなり、コレステロールを体外に排出する際にとても重要な役割でもあります。
肝臓の代謝機能が低下すると、肝臓の主な働きで紹介した、解毒がうまく行われなくなります。
本来解毒される老廃物がろ過されず、体に不要なものが蓄積されたり、必要なエネルギーが作られなくなったりすることで、体が疲れているように感じることがあります。これは肝臓が疲れているサインかもしれません。
肝臓が疲れてしまう主な原因は、アルコールと高血圧です。アルコールの飲み過ぎは肝臓の働きに負担をかけ、さまざまな肝臓病の原因にもなります。
また、高血圧の人の血液は、糖分や塩分、脂肪分などが多く、ドロドロの状態です。ドロドロの血液は肝臓が解毒する際にとても厄介な存在で、負担になります。肝臓の代謝機能を低下させないために、1日3食栄養バランスの良い食事を心がけてください。
このほか、ストレスによる自律神経の乱れも肝臓に影響を与えるといわれているので、お風呂でリラックスしたり、適度に運動を行ったりしてストレスを発散しましょう。
風邪を引いているときは、健康な人でも肝機能の低下が起こるので、手洗いうがいをして風邪予防に努めましょう。
肝臓の複雑な機能は人工的に作り出すことはできません。体の中の物質を様々な形に作り替え、私たちの健康を維持するためにとても大切な役割を担っているのです。肝臓の機能を低下させないために、生活習慣を見直してみましょう。
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