腎臓の病気だから泌尿器科…とは限らない?何科にいけばいいの?

2018/11/2

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「腎臓の病気は泌尿器科を受診すればいい」と考えている人も多いはずです。もちろんそれが正しいこともありますが、別の診療科を受診した方が良いこともあります。今回は腎臓病の種類ごとに「何科を受診すればいいのか」を説明します。

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「腎臓の病気」だからって泌尿器科に行けばいいとは限らない?

腎臓病には内科系の病気と外科系の病気があり、それぞれで受診すべき診療科が異なります。そのため、まずは腎臓病の種類について整理をしておきましょう。

内科系の腎臓病
腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎不全など
外科系の腎臓病
腎臓がん、腎臓結石など

このうち内科系の病気であれば腎臓内科や小児科を受診し、外科系の病気であれば泌尿器科を受診することがおすすめです。ただし、のう胞腎や腎盂腎炎といった、両方の診療科にまたがる病気もあるので覚えておきましょう。

腎臓内科に行ったほうがいいのは?

腎臓内科では腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎不全などを診療しているほか、生活習慣病(高血圧症、糖尿病、高尿酸血症)などに伴う腎臓病も診療しています。このうち、特に多い病気は「腎炎」ですが、腎炎にもさまざまな種類があるので詳しく解説します。

糸球体腎炎とは?

糸球体腎炎とは、糸球体の炎症によって起こる病気の総称です。この中にもいくつかの種類があり、急性糸球体腎炎(急性腎炎)、慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)などがあります。

急性糸球体腎炎
血尿、蛋白尿、むくみ、高血圧、倦怠感など
慢性糸球体腎炎
血尿、蛋白尿、ネフローゼ症候群のような症状など

もしこれらの症状を自覚したり、健康診断で血尿や蛋白尿の陽性反応が出たりしたら、早めに腎臓内科を受診すると良いでしょう。

間質性腎炎とは?

間質性腎炎とは、間質(ネフロンを取り巻いている構造部)の炎症によって起こる病気をいいます。間質性腎炎にも急性と慢性がありますが、いずれも自覚症状が少ないので注意が必要です。また、原因不明の場合も多いですが、薬物のアレルギーとして間質性腎炎が現れる場合もあり、その際は発熱や腰痛などの自覚症状を伴います。

泌尿器科に行ったほうがいいのは?

泌尿器科では主に腎臓結石、腎臓がん、腎盂腎炎、先天異常などを診療しています。特に多い病気として「腎臓結石」があるので、この病気について説明します。また、「腎臓がん」についても合わせて解説しておきます。

腎臓結石とは?

腎臓結石とは、腎臓にできる「カルシウム(シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなど)」のかたまりのことです。結石が腎臓内にある場合は、基本的に症状は見られません。しかし、結石が尿管に落ちてくると、疝痛(腹部の激しい痛み)、血尿、嘔吐などの自覚症状が見られる場合があります。尿路結石の場合は早めに受診しましょう。

腎臓がんとは?

腎臓がんとは、腎臓に生じる悪性腫瘍のことです。腎臓がんには腎細胞がん、腎盂がんなど、いくつかの種類があります。腎細胞がんの場合は自覚症状があまりなく、腎盂がんの場合は血尿が見られます。なお、厚生労働省が定めたがん検診の指針内に「腎臓(腎細胞)」はないので、違和感があれば早期に受診してください。

小児科で診てもらったほうがいいものは?

小児科では内科・外科に関係なく、ほとんどの腎臓病を診察してもらえます。また、小児特有の腎臓病(先天性腎尿路異常、アルポート症候群など)も診察してもらえます。主な腎臓病と症状をまとめるので、もし心当たりがあれば小児科を受診してください。

小児の急性糸球体腎炎
血尿や蛋白尿など
小児のネフローゼ症候群
低蛋白血症やむくみなど
先天性腎尿路異常
腎機能の低下など
アルポート症候群
神経性難聴や眼症状など

このほかには、のう胞性腎疾患、尿細管障害、溶血性尿毒症症候群などもあります。病気によって症状は異なりますが、蛋白尿や血尿などの異常があれば受診しましょう。

おわりに:腎臓病ごとに受診すべき診療科を変えましょう!

腎臓病にはいくつかの種類があり、患者さんの病状や年齢によって腎臓内科、泌尿器科、小児科など、受診すべき診療科が異なります。そのため、病気が予想できる場合は、受診する診療科を選ぶといいでしょう。

なお、血尿などの自覚症状があったとしても、患者さんが病気を判断することが難しい場合も多いかと思います。その際には、いずれかの医院を早めに受診するか、かかりつけ医などに相談してください。

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