過敏性腸症候群(IBS)の「ガス型」とは ~ おならやげっぷが止まらない ~

2018/10/28

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

日常的にストレスを感じており、おならやげっぷの症状が頻繁に出るという場合、「過敏性腸症候群(IBS)」のガス型かもしれません。詳しい特徴や原因、治療法などをお伝えしていきます。

頻発するおならは、過敏性腸症候群の「ガス型」のサインかも?

過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)とは、検査で器質的な異常が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛、腹部膨満感といった下腹部の不快症状が慢性的に続く病気です。発症原因ははっきりとはわかっていませんが、恐らく精神的なストレスや生活習慣の乱れなどが原因で、大腸や小腸が知覚過敏や運動異常を起こした結果、これらの症状が起こるものと考えられています。

この過敏性腸症候群は、おおまかに以下の4タイプに分けられます。

下痢型
腹痛や下痢が突如起こるのが特徴。大腸の蠕動運動が過剰なために、便の水分吸収が不十分になり、便が軟らかくなってしまう。
便秘型
便秘が主症状。腸が過敏に痙攣することで蠕動運動が減り、便通が滞る。また、便が長時間大腸に留まってしまうために、便がコロコロと硬くなる。
混合型
下痢と便秘を交互に繰り返すタイプ。
分類不能型
上記のいずれにも分類できないタイプ。

医療機関や専門医によって分類の仕方は多少異なりますが、「ガス型」は上記のうち分類不能型に属します(※)。ガス型では、ストレスなどによって副交感神経の作用が弱まり、腸の機能が低下することで食べたものが腸の中で停滞します。これにより腸内にガスが溜まることで、主に以下の症状をきたします。

  • おならやげっぷが頻繁に出る
  • お腹が張って苦しい
  • おならの臭いが強くなる

(※機能性消化管障害に関する診断と治療の世界標準であるローマ基準IIでは、ガス型は過敏性腸症候群ではなく、「機能性腹部膨満症」に分類される病態としています。)

過敏性腸症候群のガス型はどうやって治療するの?

過敏性腸症候群のガス型と診断された場合、病院では腸の状態を整える整腸剤や、腸内のガスを破裂させるジメチコン(ガスコン®)、そして向精神薬などが処方されます。ガス型はほかの過敏性腸症候群と比べ、特にストレスの影響が大きいと考えられており、実際カウンセリングなどの精神療法が有効なケースも多いです。

また、病院での治療だけでなく、患者さん自身が下記のことに取り組むのも重要です。

食事内容の改善

おならの強い臭いを改善するには、食べ物が腸内で留まらないよう、便通や腸内環境をよくする食生活を心がけることが大切です。具体的なポイントは以下のとおりです。

水溶性食物繊維を多めにとる

食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があり、このうちごぼうや豆類などの不溶性食物繊維を過剰摂取すると、便が固くなって腸内にますます留まり、おならの臭いが余計に強くなってしまう恐れがあります。
不溶性食物繊維の摂取は適量におさめ、代わりにきのこや海藻類、オクラなどの水溶性食物繊維が豊富な食べ物を多めに摂取するようにしましょう。

タンパク質は控えめに

肉類などの動物性たんぱく質は、腸の悪玉菌を増やし、ガスのにおいも強くする原因となります。治療中は摂取は控えめにしましょう。

水分は多めに

水分量が少ないと、便が硬くなってますます排便しづらくなり、ガス溜まりや臭いの原因になります。常温の水を1日2Lを目安に飲むようにしましょう。

運動習慣をつける

適度な運動は腸や自律神経を刺激し、ガス溜まりや便秘症状の改善につながります。そして、過敏性腸症候群の原因とされるストレスの発散効果もあります。20~30分程度のウォーキングなど、軽めの運動を日課にしてください。

おわりに:重症化する前に専門外来の受診を

過敏性腸症候群(IBS)のガス型は、重症化すると無意識のうちにガスや臭いが漏れるようになってしまい、心の傷になったり、社会生活に支障が出たりする恐れがあります。ご紹介した特徴に当てはまるという方は、一度専門外来を受診されることをおすすめします。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

過敏性腸症候群(31) IBS(12) げっぷ(18) おなら(12) ガス型(1)