腎臓に流れる血液量ってどのくらい?少なくなると高血圧になるの?

2018/11/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腎臓に流れている血液の量はどのくらいなのでしょうか?また、腎臓に流れる血液量が減少すると、高血圧になるというのは本当なのでしょうか?腎臓の血液量や高血圧との関係について解説していきます。

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腎臓の血液量って多い?少ない?

腎臓は重さ約150~250g、縦約12cm、幅約6cm、厚さ約3cmの臓器で、横隔膜の下に左右ひとつずつあります。

腎臓の腎動脈は、大動脈、下大動脈、腎静脈と繋がっており、心臓から拍出された1/5~4/5もの量の血液が、毎分800~1200mLほどで通過するとされています。

また、左右の腎臓にはそれぞれネフロンと呼ばれる機能単位が約120万個存在しており、ネフロンの一部の糸球体では、毛細血管を通過してきた血液がろ過されたのち、尿細管で尿となります。その後尿は、尿管を通過した後膀胱に運搬されて体外に排出されます。

腎臓の血液量が少なくなると高血圧になるの?

腎臓から分泌されているさまざまなホルモンのうち、代表的なものとしては骨髄に働きかけて赤血球を増加させるエリスロポエチンがありますが、エリスロポエチンは腎臓機能が低下すると分泌量が減少して赤血球が少なくなるため、貧血が起こりやすくなります。

また、腎臓内の血管の狭窄などが原因となり血液量が少なくなると、レニンと呼ばれる物質が過剰分泌されて血圧が上昇します。
高血圧が持続すると血管が障害されるため、脳卒中や心筋梗塞が起こる原因となります。また、カリウムの排出が正常に行えなくなることで、血液中のカリウム値が上昇して不整脈が起こることがあります。

腎臓の血流量を改善するためにできることは?

慢性腎臓病が進行して、腎臓機能が通常の30%以下まで低下すると、むくみ、だるさ、貧血、食欲不振などの症状が引き起こされます。

定期的に病院で尿検査や血液検査を受け、病態が悪化する前に早期発見・治療に努めることが大切です。特に高血圧が見られる場合は腎臓機能低下のリスクが高くなるため、医師の指示に従い血圧コントロールを行う必要があります。

慢性腎臓病の人や、そのリスクがある人は、血圧コントロールをするために食生活や生活習慣を改善することも大切です。特に蛋白尿が見られる場合は、食事全般にわたる改善が重要となります。

病院で治療を受けている人は、医師の指導に従い、以下のことに注意しましょう。

食塩を1日6g未満に
高血圧の治療と同様に、食塩の摂取量を少なくすることが必要ですが、著しい腎臓機能の低下が見られる場合や高齢者の場合は、急激な食塩制限を行うと病態が悪化する恐れがあるため、医師の指導のもとで制限を行う必要があります。
タンパク質の摂取量を控えめに
タンパク質の過剰摂取は老廃物や腎臓への負担が増加するため、尿蛋白量が多い場合は、1日のタンパク質の摂取量を標準体重1kg当たり0.6~0.8gに抑える必要があります。
ただし、タンパク質の摂取量を制限することでエネルギー不足に陥らないように、炭水化物や脂肪を上手く取り入れるようにしましょう(肥満気味の人は摂取エネルギー量について医師と相談しましょう)。
カリウムを控える
腎臓機能が低下するとカリウムの排出が正常に行えなくなるため、慢性腎臓病の人は1日当たりのカリウムの摂取量を1500mg以下に抑える必要があります。
カリウムには塩分の排出を促進する作用があるため、高血圧の人に対しては効果的ですが、腎臓機能が低下している人に対しては障害となることもあるため、摂取量について医師と相談しましょう。
禁煙を心がける
血圧を上昇させる作用のあるタバコは腎臓に負担をかける原因となり、慢性腎臓病になるリスクを高めます。
また、動脈硬化を促進して心筋梗塞や脳卒中になるリスクもあるため、きちんと禁煙をするようにしましょう。

おわりに:血圧コントロールと食生活の改善で腎臓を健康に

腎臓では心臓から拍出された血液の多くが通過するため、腎臓内の血管の狭窄などが原因となり血液量が少なくなると、レニンと呼ばれる物質が過剰分泌されて血圧が上昇します。高血圧が見られる場合は腎機能低下のリスクが高くなるため、医師の指示に従い血圧コントロールや食生活の改善などを行うことが大切です。

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