「メタボ健診」って? 「特定保健指導」の内容と対象者は?

2018/11/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

40歳を過ぎた頃から案内のくる「メタボ健診」とは、どんな健診なのでしょうか。普通の健康診断との違いや、メタボ健診のポイントとなる「特定保健指導」の内容などについて、詳しくお伝えしていきます。

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メタボ健診とは?

メタボ健診とは、メタボリックシンドローム患者とその予備軍を発見し、さらに治療することを目的とした特定健康診査(特定健診)です。一般的な健康診断でもメタボかどうかの診断はできますが、メタボ健診では対象者の生活習慣の改善を促す「特定保健指導」も実施する点が大きく違います。

メタボ健診の対象者は40~75歳未満のすべての被保険者・被扶養者で、区市町村国保、健保組合などの各医療保険者に実施が義務付けられています(高血圧、脂質異常症、糖尿病で、医師からの処方薬を現在服用中の人は、健康保険組合によるメタボ健診の対象にはなりません)。

メタボ健診では、どんな検査をするの?

メタボ健診ではまず下記のような検査を実施し、メタボ患者と予備軍を割り出していきます。

質問表の記入
喫煙歴や服薬歴などについて
身体計測
身長、体重、BMI、腹囲など
理学的検査(身体診察)
血圧測定
検尿
尿糖、尿蛋白など
血液検査
脂質検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)、血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c)、肝機能検査(AST、ALT、r-GT)
詳細な健診の項目(一定の基準の下、医師が必要と認めた場合に実施)
心電図、眼底検査、貧血検査(赤血球、血色素量、ヘマトクリット値)

メタボ健診の結果、「特定保健指導」の対象になるのは?

上述したメタボ健診の結果に従い、「動機付け支援」または「積極的支援」に該当した人は、特定保健指導の対象者となります。

「動機付け支援」の該当者
①肥満リスクの判定がA+追加リスクに2個以上該当した65~74歳の人or1個該当した40~74歳の人
②肥満リスクの判定がB+追加リスクに3個以上該当した65~74歳の人or1~2個該当した40~74歳の人
「積極的支援」の該当者
①肥満リスクの判定がA+追加リスクに2個以上該当した40~64歳の人
②肥満リスクの判定がB+追加リスクに3個以上該当した40~64歳の人

肥満リスクの判定

  • 腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上…A
  • Aには該当しないが、BMIが25以上…B

追加リスクの判定

1.血糖
空腹時血糖値が100mg/dL以上、またはHbA1cが5.6%以上、または血糖に関する薬剤治療を受けている
2.脂質
中性脂肪値が150mg/dL以上またはHDLコレステロール値が40mg/dL未満、または血中脂質に関する薬剤治療を受けている
3.血圧
収縮期血圧が130mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上、または血圧に関する薬剤治療を受けている
4.喫煙(1~3で1つ以上該当する場合のみチェック)
喫煙歴がある

なお、肥満リスクの判定でAにもBにも該当しなかった人や、追加リスクの該当個数が0個の人は、メタボリックシンドロームではないため「情報提供レベル」となります(今後もメタボにならないための知識を深めるために、生活習慣を見直すきっかけとなるような情報提供が行われます)。

特定保健指導ではどんなことを行うの?

メタボ健診の結果、「動機付け支援」または「積極的支援」に該当した人には、以下のような特定保健指導が行われます。

動機付け支援

専門知識をもった医師や保健師などによる、20分以上の個別面接または80分以上のグループ面接(8名以下)を原則1回実施し、対象者に合わせた実践的なアドバイスを行います。その後、対象者は自身の行動目標に沿う形で、生活習慣の改善を実施します。その6ヶ月後、今度は面接か電話、メールなどで健康状態を確認します。

積極的支援

動機付け支援での実践内容に加え、初回面接と6ヶ月後の実績評価までの間に、面接や電話、メール、手紙などを通じて3ヶ月以上、定期的・継続的な支援を行います

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

おわりに:メタボ健診で事前の健康管理を

メタボ健診は、その人がメタボリックシンドローム(予備軍)かどうかを診断するだけでなく、該当者に対して必要な生活指導を行っていくタイプの健診です。メタボは心筋梗塞などの重大な病態の原因にもなるので、40歳を過ぎたら欠かさず健診を受けるようにしましょう。

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