寝起きにつらい胃もたれ、原因はストレス?年齢も関係するって本当?

2018/11/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

寝起きの胃もたれの原因としては、前日の暴飲暴食が思い浮かびますが、ストレスによっても胃もたれが起こることはあるのでしょうか。また、年齢も関係しているのでしょうか?

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

寝起きの胃もたれの原因はストレス?

朝起きたとき、胃が重たいような不快感を覚える、いわゆる「胃もたれ」の経験をした方も多いでしょう。考えられる原因としては、前日の夕食が遅かったり、脂っぽかったりしたために消化しきれず残っていることも考えられます。しかしそれ以外で、胃の不調と特に関連が深いのがストレスです。

ストレスを抱えると、体の自律神経(交感神経と副交感神経)の働きが乱れ、それによって胃の働きが乱れます。胃は、通常であれば副交感神経が刺激を受けることで胃酸を分泌させ、交感神経が刺激されることで胃の運動量を抑えるというバランスで動いています。しかし、ストレスを受けるとこのバランスが乱れ、胃潰瘍などの胃のダメージを引き起こします。

加齢も寝起きの胃もたれの原因になるの?

年齢を重ねると、胃もたれを感じる機会が増えてくるかもしれません。それは、加齢によって胃の働きが低下しているからと考えられます。

胃の大切な働きとして、胃酸の分泌や、食物を十二指腸へ送り出す蠕動(ぜんどう)運動がありますが、加齢によってこれらの機能が低下すると消化をしにくくなるのです。さらに、酸性の胃液から胃の壁を守る胃粘液も減るため、胃が傷つきやすくもなります。その結果、若いころと同じ量の食事や飲酒量、睡眠不足などでも胃へのダメージが多くなり、胃もたれが起こりやすくなるのです。

ストレスや加齢による寝起きの胃もたれを解消するには

ストレスか加齢によって寝起きに胃もたれしてしまう場合、一体どのように対策をしたらよいのでしょうか。

まずできることとして、胃に負担をかけない生活を心がけることです。食べるときは無理のない量を、よく噛んでゆっくりと食べましょう。食事は1日3食、食事と食事の時間をしっかりとって胃を休ませながら、規則正しく食事をとりましょう。食後も、すぐに動きすぎず20分ぐらいは休む時間を設けてください。

胃に負担をかけない食べ物として、牛乳や卵、豆腐、脂肪の少ない肉などの良質のたんぱく質があげられます。また、煮込んで柔らかくなる野菜も、消化が良いのでおすすめです。反対に、脂肪の多い肉や炭酸飲料、香辛料や冷たいものなどの刺激が強いものは避けるとよいでしょう。また、「揚げる」「焼く」などの油を使う調理法よりも、「ゆでる」「煮る」「蒸す」などで食材を調理するほうが胃の負担は軽くなります。

ほかにも、規則正しい生活習慣を心がけ十分な睡眠をとることも大切です。寝る2~3時間前には、ぬるめのお湯につかって副交感神経のスイッチを入れ、体や心をリラックスさせましょう。胃は冷えてしまうと血流が滞り、機能が低下してしまいます。湯船に入って身体を温めることは、胃の働きを助けることにもつながるのです。

また、適度な運動にはストレス解消効果があり、胃の不調を和らげるのに役立ちます。反対に運動不足の人は胃の不調が起こりやすいともいわれているので、普段まったく運動習慣がない人は適度な運動を取り入れてみましょう。身体への負担が大きいハードな運動よりも、一定のゆるやかなリズムで身体を動かす、ウォーキングなどがおすすめです。セロトニンという物質の分泌が促されることで、質の良い睡眠にもつながります。

おわりに:ストレスも年齢も寝起きの胃もたれの原因になる

胃が重く不快な感じがする「胃もたれ」を、朝起きたときに感じる場合、その原因は必ずしも前日の夜の食べ過ぎや飲み過ぎだけではありません。ストレス、そして加齢が胃の機能を低下させ、胃もたれを引き起こすことがあるのです。食生活の改善、そして睡眠や運動などの生活習慣全般を見直すことが大切です。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

ストレス(367) 加齢(29) 寝起きの胃もたれ(1)