筋肉をつけたいなら、炭水化物も摂ったほうがいい?

2022/9/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

炭水化物を抜いたり、摂取量を減らしたりするダイエット方法が知られていますが、近年では「トレーニングの効果を引き上げるために、炭水化物の摂取は重要」という考え方が広まってきています。以降では、炭水化物の役割や適切な摂取量・摂取タイミングなどをお伝えしていきます。

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筋肉をつけるには炭水化物も必要?

トレーニングの運動量や時間によって筋肉にかかる負荷は異なりますが、運動強度が高くなるほど、体が必要とする炭水化物の量は増えます。体づくりにおいて、炭水化物が果たす役割は以下の通りです。

炭水化物の3つの働き

エネルギー源になる
炭水化物は体を動かしたり脳を使うときのエネルギー源です。摂取された炭水化物は、グリコーゲンとして筋肉に貯蔵されます。炭水化物の不足している状態で筋トレをしたら、十分な力を発揮できません。ある程度運動強度の高い筋トレを効率的に行うには、炭水化物は不可欠です。
筋肉の発達を助ける
筋肉の材料となる栄養素・たんぱく質は、炭水化物と一緒に摂取すると良いと考えられています。たんぱく質を筋肉に届けるホルモン・インスリンは、炭水化物が不足している状態だと分泌量が上がらないからです。
筋肉の分解を防ぐ
炭水化物が少なくエネルギーが足りない状態だと、体内に貯蔵されたたんぱく質が分解されてエネルギーとして代用されてしまいます。つまり筋肉量を減らさないためにも、炭水化物は欠かせません。

筋肉をつけたいなら、どのくらい炭水化物を摂ればいい?

鍛えたい筋肉によって必要なトレーニングが変わるように、炭水化物もトレーニングの内容によって必要な摂取量が変わります。

鍛えたい筋肉ごとの炭水化物摂取量(g/一日)

無酸素運動(筋トレなど)で筋力・瞬発力を鍛える場合

  • 6g × 体重(kg)
  • 体重が60kgなら、360g

有酸素運動(ジョギング、水泳など)で持久力を鍛える場合

  • 7~10g × 体重(kg)
  • 体重が60kgなら、420~600g

カロリーの摂り方

トレーニングの目的によって、カロリー摂取の適正量は異なります。おおまかには、筋肉量アップを目指すなら「カロリー摂取量>カロリー消費量」、シェイプアップしたいなら「カロリー摂取量<カロリー消費量」が基本です。各食品に含まれる栄養成分を調べた上で、カロリーを過剰摂取しないよう調整しましょう。

炭水化物を摂るタイミング

筋トレの効果を最大限に引き出すには、炭水化物を摂るタイミングも重要です。

トレーニング前
筋トレ開始の約3時間前に炭水化物を摂取しておくと、十分なエネルギー補給になりトレーニングの質が向上します。空腹のまま運動することは避け、食事時間の確保が難しいときはゼリー飲料などの手軽な方法で炭水化物を補ってください。
トレーニング中
筋トレ中に栄養素を摂取するなら、サプリメントやスポーツドリンクがおすすめです。運動強度が低いまたは運動時間が短い場合は、筋トレ中の炭水化物はそれほど必要ありません。補給するときは少量を少しずつ摂取しましょう。
トレーニング後
筋肉回復のための栄養素が必要です。筋トレ後2時間以内には、エネルギー回復に役立つ炭水化物、筋肉の材料となるたんぱく質、筋肉の分解を抑えるアミノ酸を摂りましょう。

おわりに:炭水化物の適量摂取で、理想の体型に近づこう

炭水化物はそれ自体が体を動かすエネルギーになるほか、筋肉の発達もサポートしている大切な栄養素です。運動の目的に合わせてトレーニングの前後に適宜補給し、筋トレの効果を上げていきましょう。

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