記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/8
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
大腸菌は人間の腸にも生息している菌です。しかし、中には「O157」のように重大な病気を引き起こす大腸菌もありますので、対処法を知っておくことが重要になります。今回は大腸菌の感染予防法や対処法などをご紹介します。
大腸菌と一言でいっても、実は色々な種類があり、病気を引き起こさない大腸菌もあれば、下痢や腹痛などを引き起こす大腸菌もあります。下痢や腹痛を引き起こす大腸菌は「病原性大腸菌」と呼ばれており、現時点では5種類の大腸菌が判明されています。
集団食中毒などで有名になった「O157」は、出血性下痢の原因となる「ベロ毒素」を作るため「腸管出血性大腸菌」と呼ばれています。
病原性大腸菌の潜伏期は1日から10日で、一般的な食中毒に比べるとかなり長いのが特徴です。そのため感染した原因食の特定が難しいのがネックとなっています。
病原性大腸菌に感染すると色々な症状が出ます。例えばO157に感染すると、潜伏期の後に腹痛や下痢、吐き気や嘔吐といった食中毒と良く似た症状が始まります。下痢が続いて血便になり、徐々に鮮血が出るような状態になるのが特徴です。感染した人の10%ほどは悪寒や熱が出ることもあり、初期段階では風邪と間違うことがあります。
さらに症状が進行すると、O157が作り出すベロ毒素のせいで、血栓性血小板減少性紫斑病や溶血性尿毒症症候群を併発します。意識障害や痙攣などの脳症を引き起こす場合もあり、稀に死亡する危険性もあるので注意が必要です。
家族が病原性大腸菌に感染した場合、二次感染を防ぐための対処をしなくてはなりません。
ゴム手袋を着用して処理します。患者が乳幼児の場合、おむつ交換には十分注意して、感染を防ぎましょう。
患者の糞便に触れてしまった場合は、流水と殺菌石鹸で十分に手を洗い、消毒用アルコールなどで、指だけでなく手首まで消毒をします。
患者がトイレで排便をした後も、十分な手洗いと消毒を行います。便器だけでなく、トイレのドアノブやタンクの取っ手なども消毒するのが肝心です。完治するまでは、トイレのタオルは共用せず、ペーパータオルを使い捨てるか、個人用のタオルを用意します。
患者が入浴する場合は、患者が子供であっても一緒に入らないようにします。患者は最後に入浴し、お湯は捨て、浴槽だけでなく浴室も清潔にしましょう。タオルも共用せず、個別に使用します。
万が一を防ぐため、患者が使用した下着や衣服、タオルなどは、他の家族の物とは別に洗濯します。便が付いた場合は、廃棄か煮沸(数分間)をしてから洗濯すると良いでしょう。殺菌作用のある家庭用漂白剤につけてから洗濯し、しっかりと乾燥させます。
患者が回復しても安心せず、再度検便の検査をさせます。O157が腸管内にいないことが確認できたら、徐々に通常どおりの生活が可能になっていきます。
病原性大腸菌に感染しないようにするためには、食中毒の予防が大切です。
病原性大腸菌は恐ろしい病気を引き起こします。しかし、たとえ家族が感染しても、適切に対処すれば二次感染のリスクを低減させることができるので、慌てずに対処してください。
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