記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「炭水化物は太る」とはよく聞く話で、実際に炭水化物の摂取を減らす「糖質制限ダイエット」を実践している方はとても多いです。しかし、この糖質制限ダイエットは、かえって隠れメタボの原因になる可能性があるといわれているのです。その理由について、詳しく解説していきます。
炭水化物は、人が消化・吸収できる「糖質」と、消化できない「食物繊維」の2種類に分けられます。この糖質の摂取量を制限する減量法が、「糖質制限ダイエット」と呼ばれるものです。具体的には、お米やパン、麺類、じゃがいもやさつまいもなどの芋類、甘いお菓子類といった糖質が主成分の食べ物・飲み物を抜くダイエット法になります。
糖質制限ダイエットでは、早ければ1ヶ月で5kg減といった具合に、かなりのスピードで体重を減らすことができます。ただ、この糖質制限では実は脂肪は減っておらず、減った大部分は「水」ということがわかっています。
人間は、エネルギー源となる糖質が体内で不足したとき、代わりに筋肉や脂肪、肝臓に水と結合しているグリコーゲンを分解することでブドウ糖に変換させ、新しいエネルギー源にします。つまりこのグリコーゲンの水分こそが、糖質制限で減った主要なものとなります。
また、そもそもメタボリックシンドロームは「内臓脂肪症候群」と呼ばれるように、内臓脂肪の蓄積が問題になっているので、脂肪減少効果の少ない糖質制限ダイエットは、メタボの人にはむしろ適さない減量法とも考えられているのです。
さらに糖質制限ダイエットは、隠れメタボの原因にもなりうるといわれています。
体内の糖質が不足すると、筋肉や脂肪などに水と結合しているグリコーゲンを分解し、代わりのエネルギー源とする、というのは先ほど述べたとおりですが、さらに糖質が不足すると、今度は筋肉が自身を分解してブドウ糖をつくるようになります。つまり、運動をせずに糖質制限にだけ頼ってダイエットをしようとすると、脂肪は減らずに筋肉だけが減り、基礎代謝が低下して逆に太りやすい体質になっていきます。すると、BMIは適正でも、筋肉が少なく体脂肪率が高い「隠れメタボ」の状態になってしまうのです。
また、糖質制限ダイエットでは、米やパンといった炭水化物の摂取を減らす代わりに、肉や魚などのタンパク質をメインで摂取します。しかし、肉類など糖質制限中に摂取する食品に脂肪が含まれている場合が多いことも、体脂肪率が上がってしまう原因とされています。
糖質制限ダイエットは体脂肪率の増加や動脈硬化を招き、心疾患の発症リスク上昇にもつながると指摘する専門家もいます。メタボの人はダイエットすることが確かに大事ですが、極端な食事制限はかえって健康リスクを上げる恐れがあります。運動も取り入れ、筋肉量を維持していくことが重要です。
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