「炭水化物を食べると太る」はウソ?太らない食べ方のコツがあるの?

2018/11/14

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ダイエットをはじめるときなどに注目される炭水化物ですが、炭水化物を食べると太るといわれているのには理由があります。
こちらでは、炭水化物が太るといわれている理由と、太りにくくする食べ方のコツについてご紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

炭水化物を食べると太る」といわれるのはなぜ?

普段私たちが口にしている食べ物には様々な栄養が含まれていますが、そのなかでも「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」の3つは三大栄養素と呼ばれ、体を作るもととなったり、エネルギー源となったりしています。

炭水化物は、糖質と食物繊維の総称であり、糖質は体内に吸収されてエネルギー源になりますが、食物繊維は消化や吸収がされずエネルギーになりません。

体内に糖質が入るとインスリンが分泌されエネルギー源に変換され、消費しきれなかったものは中性脂肪になります。炭水化物を摂り過ぎると太るといわれているのはこのためです。

逆にいうと、食べ物からエネルギー源が作れなくなったときには、体内に蓄えてある中性脂肪からエネルギー源を作り出そうとします。「炭水化物抜きダイエット」や「糖質制限」と呼ばれる食事制限は、糖質を摂り過ぎることなく、この体の仕組みを利用して減量する方法だといえます。

また、体内に糖質が入ってインスリンが分泌されている間は、中性脂肪を蓄えやすい状態です。このことからインスリンは別名「肥満ホルモン」とも呼ばれ、体は太りやすい状態になっているといえます。

不規則な食生活や暴飲暴食をしていると、インスリンの分泌は正常に行なわれなくなり、糖尿病の原因にもなります。炭水化物の摂り過ぎには十分注意しましょう。

炭水化物を食べなければ痩せる?

ここまでの話を聞くと、炭水化物を食べなければ痩せると考えがちですが、先にもお話ししたように、炭水化物は体を作るもととなったり、エネルギー源となったりしている大事な栄養素です。

食事制限をし過ぎると、脳がエネルギー不足になって頭がぼーっとする低血糖、集中力の低下、肝臓に貯えられた糖質が分解されて肝臓機能が低下したり、体内のたんぱく質が分解されて疲れがたまりやすくなったりします

とくに脳は昼夜問わず、ほぼ一定の速度でエネルギーを使用しており、脳だけで1日に120gものエネルギーを消費しているといわれています。むやみに炭水化物を制限することは、危険な状態を招くのです。

1日に食べてもいい炭水化物ってどのくらい?

炭水化物が生命に必要なエネルギー源になるとはいえ、食べ過ぎてはいけません。炭水化物の1日の摂取量の目安は、男女とも1日に摂取するエネルギーの50~65%に相当する量です。

例をあげると、1日に摂取するエネルギーが2000kcalの場合、50~65%に相当するエネルギー量は1000~1300kcalになります。そして炭水化物は1gが約4kcalと考えられるので、1日に摂取する炭水化物の目安量は250~325gです。ごはん茶碗一杯分が150gなので、毎食腹八分目を心がけて食べると良いでしょう。

ごはん茶碗一杯分に含まれるエネルギーはおよそ252kcalで、体重が40kgの人だと、時速8kmで40分走り続けたり、時速15kmで60分自転車をこぎ続けたりするエネルギー量に相当します。

これもまた逆に考えると、摂り過ぎてしまった炭水化物を消費しきるには、これだけの運動を行なわないといけないということになります。炭水化物が不足することなく、摂り過ぎることもなく、摂取量の目安を守りながら食事を摂りましょう。

炭水化物を食べても太らない方法はある?

炭水化物(糖質)が体内に入ると血糖値が上昇し、インスリンが分泌されます。血糖値の上昇が急なほどインスリンの分泌も過剰になり、太りやすい状況になるといえます。
そこで、炭水化物を食べても太りにくい食べ方をご紹介します。

食べる順番に気をつける

血糖値の急上昇を防ぐためには、炭水化物を体内に入れるタイミングが重要です。まず、野菜やきのこなどの食物繊維からを食べはじめましょう。食べ過ぎを防ぐために、汁物でお腹を膨らませておくのも効果的です。その後、肉や魚などのたんぱく質を食べて、最後に炭水化物を摂りましょう。

よく噛んで食べる

よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことができます。

お腹がいっぱいになったと感じる満腹中枢は、食事をはじめてから30分経たないと働きません。早食いの人が太りやすいのは、この満腹中枢が刺激される前にどんどんと食べ過ぎてしまうからです。
ひとくち30回ほど噛んで食べると満腹感が得やすくなり、消化の吸収も助けられます。

酢を摂る

酢には血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあり、脂肪の蓄積も抑える効果があります。
近年ではそのままでも飲みやすい酢が豊富にありますので、自分に合った酢を探したり、ドレッシングなどで摂ったりしましょう。

おわりに:炭水化物と上手なお付き合いを

炭水化物を食べると太るのではなく、その食べ方や量が太る原因となります。また、炭水化物を抜いて食事をすることはストレスにも繋がりますし、体で必要なエネルギーが不足することにもなります。
必要な分だけ炭水化物を摂り、食べ方を工夫して食事を楽しみましょう。

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