炭水化物を摂るなら、どんな食べものがおすすめ?

2018/11/24 記事改定日: 2019/6/24
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

近年の糖質制限ダイエットのブームから、太る成分というイメージがついている炭水化物。
しかし本来、炭水化物は人間の心身の健康維持に必要な、摂取すべき栄養素なのです。
そこで今回は、炭水化物という栄養素を知り、適量を摂取するためのコツについてお伝えしていきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

炭水化物ってどんな栄養素?

炭水化物は、人間の体・脳を動かす主要なエネルギー源となる栄養成分です。
私たち人間が1日活動するためのエネルギーのうち、実に60%を炭水化物からとり入れているといわれています。

主に以下のような穀類・糖類に多く含まれ、食事として摂取された後は体内で「糖」に変換され、脳や体を動かすエネルギーとなります。

炭水化物が多く含まれている食品
米、小麦、またこれらを使ったパン・パスタ・うどん・そばなどの麺類や加工食品、じゃがいもやサツマイモなどのイモ類、砂糖 など

上記のうち、砂糖よりも穀類の方が糖への変換と体への吸収速度が緩やかであるため、体と脳への必要量のエネルギー供給に適しているといわれています。
炭水化物の摂取量が不足すると、脳や体を動かすためのエネルギーが足りなくなり、集中力の低下やイライラ、代謝の低下など心身の不調を引き起こします。

一方で、心身の健康維持に必要な量以上の炭水化物を摂取すると「脂質」に変換され、皮下や内臓の周りに蓄積されて肥満の原因となります。

炭水化物はどんな食べ物で摂るのがいいの?

過剰摂取を避け、心身の健康維持に必要な適量の炭水化物を摂って太りすぎを防ぐには、炭水化物を摂るための食品選びを工夫しましょう。
炭水化物の摂りすぎを防ぐための食品選ぶためのポイントは、「血糖値上昇のスピードが遅く、GI値が低い食品を選ぶこと」にあります。

通常、炭水化物を食べると体内でブドウ糖が生成され、血糖値が上昇していきます。
この食後の血糖値上昇のスピードが早いと、血糖値の上昇を抑えるためのインスリンが過剰に分泌されて、脂肪が蓄積されやすい環境ができてしまいます。

だからこそ、血糖値の上昇が緩やかな低GI値の炭水化物を摂取することが効果的なのです。

低GI食品とは

食物繊維を多く含み、食後の血糖値の上昇が比較的緩やかな低GI値の炭水化物としては、主に玄米や全粒粉を使ったパスタやパン、サツマイモ、レーズンなど色の濃い穀類・食品が挙げられます。

一方、白米や白い小麦を使ったパスタ・パン・うどん、シリアル、じゃがいも、砂糖を使った清涼飲料水などは、GI値の高い食品の代表格です。

炭水化物の摂取量は前述のGI値をヒントに、1日当たりの食事量と栄養バランス、そして自身の食事への好みを踏まえて、調整してくださいね。

おすすめの低GIレシピ

では、実際に低GIを意識したメニューを見てみましょう。ここではおススメの低GIレシピを3つご紹介します。

低GIガトーショコラ

良質なたんぱく質を多く含んだ豆腐をケーキに変身させることで、食事制限中もおいしいデザートをいただくことができます。

板チョコは細かく刻んで電子レンジで加熱して溶かします。ボウルに溶かしたチョコレート、水切りした絹ごし豆腐、溶き卵、砂糖を投入しよく混ぜ合わせます。そこに薄力粉とココアを40gずつ投入してさっくり混ぜ、160度のオーブンで60分ほど焼けば完成です。

鶏のテリーヌ

カロリーの低い鶏むねのひき肉は低GIレシピに最適の食材です。余分な油を使わないテリーヌにすることでカロリーをカットすることもできますよ。

テリーヌ型にサランラップを引いて底にベーコンを敷き詰め、鶏ひき肉250~300g程度と溶き卵、大豆の水煮1パックを投入してよく混ぜ合わせて塩コショウでお好みに味付けしたものを型に流し込みます。アスパラやミニトマトなどお好みの野菜を入れて、電子レンジで10~15分加熱すれば完成です。

低GIアップルパイ

餃子の皮をアップルパイの生地にすることで、簡単に低GIおやつを作ることができます。もちろんリンゴではなく旬のお好みの果物を使用するのもOKです。

マフィン型に餃子の皮を敷き詰め、オリーブオイルを塗っておきます。そこに薄くスライスしたリンゴを入れて砂糖をふりかけ、180度のオーブンで30分ほど焼いてリンゴをしんなりさせれば完成です。

おわりに:炭水化物は、低GI値の食品を中心に摂るのがおすすめ!

摂りすぎると過度な血糖値上昇や肥満の原因となる炭水化物ですが、本来は脳や体を動かすために必要な栄養素です。心身の健康を保ち、太りすぎを避けるためには、日々の炭水化物の摂取量を体に必要な範囲に抑える必要があります。そこでおすすめなのが、食物繊維が多くて腹持ちがよく、血糖値上昇も緩やかな低GIの食品です。この記事から食品のGI値の高低の目安を知り、炭水化物の摂取量管理に役立ててください。

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