膵臓から分泌される「インスリン」ってどんな働きをしているの?

2018/11/19

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

膵臓から分泌される「インスリン」というホルモン、糖尿病の話などで聞いたことのある名前ではないでしょうか。今回はこのインスリンの働きや、インスリンの分泌を助ける生活習慣などをご紹介します。

膵臓で作られるインスリンってどんなもの?

膵臓の「ランゲルハンス島」と呼ばれる組織の中の「β(ベータ)細胞」でインスリンはつくられています。飲食物を摂取すると血糖量が上昇しますが、β細胞が血糖量の上昇を感知し、インスリンを分泌します。分泌されたインスリンの刺激により、肝臓や筋肉などの細胞がブドウ糖(血糖)を取り入れます。

インスリンの量や働きが正常であれば、臓器細胞が血液中のブドウ糖(血糖)を取り込むため、血糖が下がります。臓器細胞は取り込んだ血糖をエネルギーとして貯蔵し、必要なだけ活用します。さらに、貯蔵したエネルギーでタンパク質を合成し、細胞の増殖を促進します。

インスリンの働き

  1. 体のほとんどの臓器細胞にブドウ糖を取り込ませる
  2. 肝臓や筋肉内でブドウ糖から貯蔵糖(グリコーゲン)が合成されるのを促す
  3. グリコーゲンが分解されるのを抑える
  4. 脂肪組織が脂肪を合成するのを促して脂肪の分解を抑える

インスリンによって上記のような処理をされるため、食後に上昇した血糖は一定に保たれているのです。

インスリンの働きが悪くなるとどうなる?

必要な分量のインスリンが分泌されない、あるいは分泌されたインスリンが上手く働けない場合があります。そういった状況に陥ると、血液中の糖の量が一定値を超えて、血糖値の高い状態が続くことになります。これが「高血糖」状態です。

原因としては必要以上の栄養摂取、運動不足のせいで摂取したブドウ糖が消費されない状態が続くことなどがあげられます。慢性的に高血糖が継続してしまうと、血糖量を減らすために膵臓がインスリンを分泌し続けます。

そうすると膵臓に負担がかかり、インスリンをつくっているランゲルハンス島のβ細胞が疲労で動かなくなります。結果的に膵臓がインスリンを分泌できなくなり、しかも一度失われた分泌能力は再生されません。「重度の糖尿病になると完治することはない」といわれるのは、こういった膵臓の特性のためです。

膵臓の働きを回復させるには?

β細胞の動きが完全に停止してしまうまでは、膵臓の働きを回復させることができます。そのためには日々の運動や食生活の改善が肝心です。

膵臓の働きを回復させる方法

運動習慣を身につける

定期的に運動している人は、筋肉が次の運動に備えてブドウ糖を確保するため、血液からブドウ糖を取り込みます。結果的に血液中の糖が減りますので、週3日以上は早足でのウォーキングをするなど、定期的な運動が重要です。

大食いや大酒を飲む習慣をやめる

長年大食いや大酒を飲む習慣を続けた場合、食事の度に血液中の糖が急増し、インスリンも大量に分泌されます。このような状態では、細胞がインスリンの刺激に慣れてしまい、通常量のインスリンでは細胞がインスリンを取り入れなくなります。

結果、血液中のブドウ糖は行き場がなくなり、高血糖状態が続いてしまいます。
高血糖は糖尿病を招きます。予防するためにも、一度に炭水化物などを大量に食べず、お酒もたしなむ程度にしておくと良いでしょう。

絶え間ない間食をやめる

食事と食事の間に、1~2回程度「間食」を入れるのは良いのですが、頻繁にお菓子などを食べていると、膵臓が休む暇がありません。膵臓が疲労するとインスリンが出なくなりますので、おやつを食べるならダラダラと食べず、毎日決まった時間に少量を食べましょう。

おわりに:インスリンは食事と運動が大切!

インスリンには、細胞を刺激して血糖を細胞に取り込ませる力があります。そのおかげで私たちは元気に活動できているのです。正しい習慣を心がけ、膵臓を守りましょう。

糖尿病などになると食事制限などを強いられてしまうので、楽しく食事をしていくためにも、日頃からちょっとずつ運動習慣などを増やしていくと良いですね。

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